- 2025/01/24 掲載
パナマ債券の投資判断引き下げ、トランプ氏の運河奪還宣言で=JPモルガン
[ロンドン 23日 ロイター] - JPモルガン・チェースは、中米パナマの債券の投資判断を「オーバーウエート」から「マーケットウエート」に引き下げた。トランプ米大統領が就任演説で、パナマ運河の管理権を取り戻すと改めて宣言したことが理由だ。
トランプ氏は選挙期間中からパナマ運河奪還を約束し、パナマの債券価格低迷をもたらしていた。
ただJPモルガンのアナリストチームは、トランプ氏の就任演説においてパナマ運河を奪還する決意が際立っていたと指摘。最終的に米パナマ両国が問題解決できるとしても「それまでに生じる可能性があるさまざまなノイズがヘッドラインリスクに対する市場の反応度を高めるのは間違いない」と述べ、現時点で結末が見えにくいことと相まってパナマ債の投資判断を下方修正した。
パナマにとってトランプ氏の脅しは深刻な事態につながりかねない。調査会社テリマーは、運河通行料は同国の主要な収入源で、国家歳入の13%余りを占めると強調した。
昨年は干ばつに伴う水位低下で航行船の数が減ったものの、2023年の通行料は過去最高の25億4000万ドル、国内総生産(GDP)の3.2%相当だった。
今後トランプ氏の行動を通じてパナマの通行料収入が減少すれば、ソブリン格付けにも影響する恐れが出てくる。既にフィッチはパナマの格付けを投機級(ジャンク)に引き下げており、今後ムーディーズとS&Pグローバルのどちらかが追随すれば、投資的各級の債券のみで構成する世界の主要指数から除外される。
JPモルガンは、パナマは今年約5%の成長が見込まれている以上「全ての条件が等しければ」格下げは回避できるとしつつも、トランプ氏の運河管理権奪還宣言で、全ての条件が等しくなくなったと付け加えた。
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