- 2024/12/30 掲載
2024年の日経平均は19%上昇、初の4万円乗せも 高値波乱の一年
株価上昇の主な理由について多くの市場関係者は「外為市場でドル高/円安が進行し、輸出産業が好業績となったこと」(東海東京インテリジェンス・ラボ、常務取締役チーフグローバルストラテジストの平川昇二氏)を挙げる。年初から円安を手掛かりに上値を追い、2月22日に最高値更新、3月4日に4万円乗せとなり、7月11日に最高値となる4万2426円77銭(終値では4万2224円02銭)を付ける場面もあった。
しかし、その後は日米金利差の縮小から急速に円高が進行。8月5日には前日比4451円28銭安と1987年10月のブラックマンデーを上回る史上最大の下げ幅を記録。翌日は同3217円04円高と史上最大の上げ幅となるなど、為替相場に大きく左右されることが多かった。
円安以外にも株価を押し上げた要因は少なくない。一つは日本企業のガバナンス改革の進展で、主要プレーヤーである海外勢に日本株の魅力が高まったことが挙げられる。さらに「需給面では、持ち合いの解消で日本株M&Aがしやすくなったことが注目されるほか、新NISAで個人の新しい投資家層が参加したことも大きい」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)という。
政治面では岸田文雄氏から石破茂氏に首相が交代。新首相の下で行われた衆議院選挙では与党が大敗、自公連立政権は過半数を割り込んだ。金融課税強化など株式投資に厳しい独自の政策を封印したことについては、市場に安心感をもたらしたものの、来年は参議院選挙も控えるため引き続き政局不安は注意すべき材料になるのと見方が支配的だ。
大納会のセレモニーのあいさつで、日本取引所グループの山道裕己・最高経営責任者(CEO)は冒頭、職員によるインサイダー取引事件について謝罪するとともに、日経平均、TOPIXが最高値を更新した24年に関し「日本企業の業績への期待、新NISAなどが株高の背景にある。賃金と物価上昇の好循環からデフレ脱却の道筋が見えた」と振り返った。さらに「東証の改革は始まったばかり。持続的な成長、中長期的な企業価値向上を目指すことが当たり前のようになるマーケットにしたい」と述べた。
6日間の年末年始休場をはさんで、2025年は1月6日が新甫(しんぽ)となる。
三井住友トラスト・アセットマネジメント、チーフストラテジストの上野裕之氏は、来年の相場について「ガバナンス改革は続くと考えられるため、株価にはプラスとみている。今年は海外投資家は売り越しとなったが、新NISAなどを背景に国内の買い手が増え、海外投資家の売りを吸収した」といい、「海外勢は既に売り尽くしていることから、買いに転じることも考えられ、需給的にも悲観はしていない」と話している。
(水野文也 取材協力:佐古田麻優)
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