• 2024/12/24 掲載

アングル:物価連動債、日銀買い入れ減額の観測 期待インフレ率低下も

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Takahiko Wada

[東京 24日 ロイター] - 日銀が近い将来、物価連動債の買い入れを減額するのではないかとの指摘が市場で出ている。現在は日銀が事実上、発行分を全て買い入れており、12月に日銀が開いた債券市場参加者会合では買い入れを減額すべきとの声が出ていた。日銀の買い入れが減れば物価連動債の利回りは上昇する可能性があり、物価連動債の利回りを用いて算出する期待インフレ率は低下するとの見方が出ている。

価格形成を市場に委ねる観点から、買い入れ減額を検討すべきタイミングとなっているのではないか――。日銀が今月5―6日に開催した債券市場参加者会合で、出席した市場関係者からこんな意見が出された。こうした意見を踏まえ、近く日銀が物価連動債の買い入れ額を減らすのではないかとの見方が市場の一部で浮上している。

日銀は8月から国債買い入れの減額を始めたが、優先したのは買い入れ額が大きく、発行額に対する買い入れ比率の高い10年以下のゾーンだ。物価連動債は月間600億円の買い入れを継続してきた。

物価連動債は四半期に1回発行され、11月末の発行残高は約12兆円と小さい。日銀の買い入れも月1回。しかし、四半期の発行額2500億円に対して、日銀の買い入れ額が1800億円、財務省による買い入れ消却が600億円で、市場参加者会合で買い入れ減額の検討を主張した市場関係者は「発行額のほぼすべてを日銀が買い入れている状況」と指摘する。

日銀は国債買い入れ減額計画を決める際に債券市場参加者会合で上がった市場関係者の声を重視し、市場コンセンサス並みの減額計画を決めた。12月の同会合では物価連動債の減額について「流動性の低さや投資家の裾野の狭さを考えると、かえって市場機能に悪影響が生じる可能性もある」との意見も出されており、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介・シニア債券ストラテジストは「一気に減らすのではなく、段階的に減らしていくのではないか」と話す。

<買い入れ減額ならBEIは低下か>

物価連動債の買い入れが減額された場合、名目金利から物価連動債の流通利回り(実質金利)を引いて算出するBEI(ブレイク・イーブン・インフレ率)に影響が出てくる可能性がある。

日銀が物価連動債の買い入れを継続したことで、物価連動債の金利は上がりづらい状況が続いてきた。日本の物価連動債の特徴である流動性の低さが金利の上昇につながりやすい中で、日銀の買い入れや財務省による買い入れ消却が流動性プレミアムを縮小させ、実質金利の低下、BEIの上昇につながってきた。

前出の鶴田氏によれば、物価連動債を回号ごとに見た場合、発行残高に占める市中残高の比率が低いほどBEIが高い傾向にあるという。物価連動債の25回債は市中残高が12.6%でBEIは23日時点で2.223%なのに対し、最も新しく日銀の買い入れ額が少ない29回債は市中残高が90.1%でBEIは1.495%だ。

鶴田氏は29回債について、日銀の保有比率が低いものの、買い入れが減額されれば流動性プレミアム抑制効果がはく落し、実質金利は上昇、BEIが低下する可能性があるとみている。

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