- 2024/12/20 掲載
インタビュー:トランプ政権下でも、データセンター需要が再エネ投資促進=米州MUFG幹部
[東京 20日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の米州MUFGホールディングスコーポレーションのケビン・クローニン最高経営責任者(CEO)は米国における再生可能エネルギー需要の高まりは、トランプ次期政権下でも継続するとの見解を示した。ロイターとのインタビューで語った。
米国では、気候変動対策に対して積極的とは言えないトランプ次期大統領の就任により、再生可能エネルギー(再エネ)の活用拡大を掲げていたバイデン政権からエネルギー政策が大きく転換するのではないかとの見方が浮上している。
クローニン氏は、プロジェクトファイナンス(事業融資)は、計画、許認可、資金調達、建設などに数年を要することから、「選挙サイクルを意識してプロジェクトを進めるのは非現実的」と話し、「再エネは重要な事業の一部で、今後も継続的に取り組む」という。生成AIの普及などで足元で急増するデータセンターの容量は2030年までに倍増するとし、再エネを含めた「信頼できる電力の確保はデータセンター立地の戦略的な一部となりつつある」とも述べた。
MUFGの米州事業は、米地銀ユニオンバンクのリテール部門を売却した後、法人融資や市場部門中心に移行。中でも強みを持つプロジェクトファイナンスに注力しており、米国で組成した案件の融資額は14年連続首位となっている。バイデン政権下における再エネへの投資需要の拡大により、これまでの電力や化石燃料を主とする資源案件から、太陽光や風力、水素などの需要が伸びている。
一方で、クローニン氏は、政策変更は新たな事業機会を生むとの見方も示し、バイデン政権下で一時停止されている液化天然ガス(LNG)許認可などが「トランプ政権下で解除される可能性があり、過去10年以上、米国での主要なLNG輸出プロジェクトに関与してきたMUFGにとって、良い機会となる」と指摘した。
同時期にインタビューに応じたMUFGの米州副担当の常務執行役員である小森谷正敏氏も、再エネ促進を目的とした「インフレ抑制法(IRA)が完全に撤廃されることはない」とみる。ただし、短期的には一定の揺り戻しが起こる可能性があるとし、「州によっては化石燃料関連企業を差別しないルールを設ける動きもあり、再エネと旧エネルギーの両方を視野に入れた柔軟な対応が求められる」との認識を示した。
米州での事業拡大の機会は、プロジェクトファイナンスに限らない。日本からの投資も増えるといい、現地での工場建設や、企業の合併・買収(M&A)など、トランプ政権下では「これまでより積極的に投資してくる企業が多くなる」という。2026年の中間選挙までが一つのポイントとして、動くのであれば「前半の2年ではないか」と話した。
MUFGの米州事業は2024年3月期の全体収益の約3割を占める。大企業向けは持ち分法適用会社でM&A助言や資本政策を手掛ける米モルガン・スタンレーと協同する一方で、ユニオンバンク傘下にあった米中堅投資銀行イントレピッド・インベストメント・バンカーズを取り込むことで、中堅・中小企業向けの事業も強化している。先端技術などの分野では、23年に破綻した米西海岸の地銀シリコンバレーバンクから、専門的知識を持つ行員を約30人採用するなどして、人員も増強した。
クローニン氏は、現在顧客数ベースでは大企業と中堅・中小企業が半々になっていると説明。「10年前よりもバランスの取れたプラットフォームになった」と語った。
※インタビューは18、19日に実施しました。
(浦中美穂、Anton Bridge)
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