• 2024/11/22 掲載

ECB総裁、欧州経済統合「緊急性高まる」 早期行動呼びかけ

ロイター

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[フランクフルト 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は22日の講演で、欧州連合(EU)の経済統合を改めて呼びかけた。国際貿易を巡る緊張の高まりや米国との技術格差拡大から、早急な行動が求められていると指摘した。

トランプ次期米大統領は、輸入品の追加関税を課す方針で、欧州については数十年にわたり対米貿易で大幅な黒字を計上してきたツケを払うことになると述べている。

ラガルド氏は、トランプ氏に直接言及はせず、「世界的に自由貿易に対する脅威が高まっており、地政学的環境も好ましくないものとなっている」と述べた。

「資本市場を統合する緊急性が高まっている」と述べた。これまで一定の進展があったものの、統合に向けた提案が加盟国が自国の既存利益を守ろうとする動きによって骨抜きになり、EUの不利益になりがちだと指摘した。

家計には11兆5000億ユーロの現預金があるが、その多くが資金を必要とする企業に回っていない。

「EUの家計の預金と金融資産の比率が米家計並みとなれば、最大8兆ユーロのストックが長期的な市場ベースの投資に振り向けられる可能性がある。年間約3500億ユーロのフローに相当する」と述べた。

ただ実際に資本市場に資金が流入しても、国内にとどまるか、より良いリターンを期待して米国に向かうことが多いと指摘し、欧州は資本市場への投資コストを削減し、資金が最も必要とされる場所に流れやすい規制体制を整える必要があるとした。

そのために、加盟27カ国の国内規則の上にEUとしての規制体制を構築し、特定の発行体がこの枠組みを選択できるようにすることが考えられる。

ラガルド氏は「発行体にとって28番目の制度を作り規制調和の煩雑なプロセスを回避することができる。統一された会社法と証券法の恩恵を受け、国境を越えた証券発行、保有、決済が容易になる」と述べた。ただそれでも、資金調達の厳しさを一因に欧州に進出する革新的な企業が少ないという問題は解決しない。欧州はベンチャーキャピタル投資や新興企業向け与信をしやすくする必要があると指摘した。

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