- 2024/11/13 掲載
スト実施のドイツ労組、5.5%賃上げを受け入れ
[ミュンヘン/フランクフルト 12日 ロイター] - 数万人規模のストライキを実施したドイツ最大の産業別労働組合、IGメタルは12日、会社側が提示した25カ月間で5.5%賃上げする労働協約を受け入れると発表した。自動車大手のメルセデス・ベンツ、BMW、機械大手のシーメンス、鉄鋼大手のティッセンクルップなどの労働者約390万人が対象となり、ストに終止符を打つ。
シーメンスは労組との合意を歓迎し、広報担当者は「妥協案はシーメンスが実施できる限界ではあるものの、当社が予想した範囲内だ」とコメントした。一方、ドイツの10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.4%上昇しており、欧州中央銀行(ECB)はインフレへの影響を注視している。
IGメタルのバイエルン地方支部と沿岸の地方支部は、今回の労働協約によって労働者は2025年4月に2%、26年4月に3.1%のそれぞれ賃上げを受けることになると明らかにした。
賃上げ幅は労組が求めていた7%には及ばないものの、会社側が提示した27カ月間で3.6%を上回った。22年終盤の前回の合意では、2年間で8.5%の賃上げで合意していた。
また、来年2月までに労働者は600ユーロ(637ドル)の一時金を受け取り、訓練生の手当は来年1月から月140ユーロ上昇する。
この労働協約は通常、労使交渉の対象となる産業部門の全国の労働者に適用される。
<VWへの影響>
エコノミストらは中国との貿易摩擦や、米大統領選で勝利したトランプ次期大統領が就任後の不透明感による逆風に直面しているドイツで、賃上げ幅が抑えられたことを歓迎した。
INGのチーフエコノミスト、カーステン・ブルゼスキ氏は「今回の合意は購買力の低下を補うための大幅な賃上げから転換し、雇用安定に向かうことを明確に示している」としつつ、「本当に長期的な雇用確保につながるかどうかは、今後の経済情勢を見極める必要がある」と指摘した。
自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は、賃金と工場閉鎖を巡る3回目の労使交渉を今月21日に控えている。VWは、フォルクスワーゲンブランド部門の労働者に対して人件費が高すぎるとして10%の賃下げを求めている。
VWの広報担当者によると、今回の労使交渉の対象には、閉鎖の危機に瀕していると広く見られている工場の1つであるオスナブリュック工場の労働者も含まれる。広報担当者は「私たちにはコスト負担ではなくコスト軽減が必要であり、そのための提案をしている」と表明した。
しかし、7万人を超える組合員が11日の労組要求を支持してデモをしたり、数時間にわたってストを実施したりしており、今回の合意でより広い分野でストが実施される可能性はなくなった。
デモ参加者には南部インゴルシュタットにあるVWのアウディ部門の約1万5000人の従業員やBMW、VWグループのトレイトン傘下のマン・トラック&バスの労働者も含まれた。
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