• 2024/11/13 掲載

米金融政策なお制約的とFRB当局者、次期政権など不透明要因

ロイター

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[12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者2人は12日、米金融政策が労働市場やインフレに引き続きブレーキをかけているとの認識を示した。追加利下げの妥当性を主張するものとみられるが、いずれも利下げのペースや程度について判断するのは時期尚早だと示唆した。

ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁はヤフー・ファイナンスのイベントで「FRBはやや制約的なスタンスを維持していると考えている」とした上で、最終的にどこまで利下げを実施する必要があるかについては、経済に導かれて判断することになると述べた。

リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は別のイベントで、政策金利の現行水準について、これまでより「制約の度合いが幾分低い」と指摘。需要が高まり、FRBがインフレ抑制に注力する必要が生じるシナリオの一方、企業が人員削減を開始し、FRBが雇用市場の保護により注力せねばならないシナリオも考えられると述べた。

「経済は現在良好で、金利は最近のピークから低下しているが、同時に歴史的な低水準を上回っており、FRBは経済がどのように展開しても適切に対応できる態勢にある」と語った。

FRBは先週、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、4.50─4.75%とした。これにより、短期借り入れコストは利下げ開始前と比べて75bp低下した。

FRB当局者の9月時点の予測に基づくと、12月に25bp、来年に25bp幅の利下げが4回行われ、政策金利は3.25─3.50%となる見通しだ。

ただその後、FRBの次の一手を複雑にする可能性のある多くの材料が出てきている。

9月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比上昇率が2.1%と、FRBの物価目標2%に近づいた一方、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は高止まりが続いている。

また、月次の就業者数の伸びは鈍化しているものの、失業率は4.1%と歴史的に見て低い水準にある。当局者は労働市場がさらに減速するか、もしくは底堅さが続くか注視しているが、12月17─18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)までに発表される雇用統計は1回のみだ。

<新政権が新たな不透明要因>

先週の大統領選で共和党のトランプ氏が勝利したことも新たな不確実性を生み出す。同氏は減税や新たな関税導入、不法移民の大規模強制送還を掲げる。金融市場は総じて、こうした政策による成長加速や利下げの減少を織り込んでいるが、FRB当局者は具体的な政策が明らかになるまで対応は計画できないとしている。

カシュカリ総裁はFRBが12月の会合で利下げを一時停止する理由として何が考えられるかとの質問に対し、経済指標が労働市場の再加速を示すには、12月会合までには時間が足りないと指摘。「見通しがそこまで大きく変化するためにはインフレ面でのサプライズが必要だ」とした上で、「長期的には(金利が)どこに落ち着くかが大きな問いになる」と述べた。

同氏は景気を刺激も抑制もしない中立金利の水準について、おそらく生産性の向上によって以前より高くなっているとの見方を示した。

中立金利が高くなれば、今後の利下げ回数を減らす根拠の一つになり得るが、カシュカリ氏はバーキン総裁と同様に予測は控えた。「現在の金利が中立水準を上回っていることは誰もが同意するだろう」とした上で、「今後1年で中立水準がどこかについて、より多くの情報が得られるだろう」と述べた。

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