- 2024/10/24 掲載
バーゼル委、気候リスク管理で銀行に聞き取り調査=関係者
[ニューヨーク 23日 ロイター] - 45の主要銀行監督当局でつくるバーゼル銀行監督委員会は銀行に対して、気候変動のリスクをどのように管理しているかについて詳細な聞き取り調査を行った。事情に詳しい3人の関係者が語った。このテーマには相反する対応方法が存在しており、当局が幅広いコンセンサスを見いだそうとしていることを示している。
調査はこの夏に各銀行が回答。バーゼル委員は、部門をまたぐリスクから経営に至るまでの約60項目を質問した、と関係者は話した。同委は、各国が基準として導入、施行するハイレベルな規則を策定している。
バーゼル委は、気候変動リスクに関する2023年11月の提案を近く改定するとみられている。この提案は、金融機関に対して、顧客のカーボン・フットプリントに関する情報の開示を義務づけるための枠組みを設定することを目指していた。
気候変動のリスク管理についての見解は各国によって大きく異なっている。例えば、欧州中央銀行(ECB)の当局者は、銀行は温室効果ガス排出量「実質ゼロ」の目標達成を確かにするために取引先と協力すべきだと述べたが、米連邦準備理事会(FRB)は、気候変動に関連する役割を拡大させようとするFRBへの圧力自体がリスクだと見なしている。
シティグループでコンシューマー融資リスクオフィサーを務め、現在はメリーランド大学教授のクリフォード・ロッシ氏は「意見の相違が根本にある。気候に関しては、本当に受け入れられた方法論や、われわれを満足させるようなモデルツールは存在しない」と指摘する。
<調査内容>
今回の調査は任意で、バーゼル委が2022年に発表した原則リストを参照している、と関係者が話した。
このリストは銀行と規制当局が、膨大な顧客からどのようにデータを取得し、景気後退に備えた資本水準を決める計画に、2~3年の時間軸よりずっと長期にわたってさまざまな気候関連リスクがどう影響するかを考える際の手助けとなることを目的としていた。
調査では、各銀行がどのようにデータを集めているか、また急増し複雑化する情報を処理するために情報技術システムをどう適応させているかを記述するよう求めていると関係者は話した。
環境政策が将来変わることに対応するための顧客の計画や、ポートフォリオの中で気候変動リスクがどの程度集中しているか、シナリオ分析のようなリスク管理ツールを使っているかどうかなども聞かれた。
バーゼル委は、調査回答をどうように利用するかについては各銀行に厳密には伝えていない。調査を行った詳細な理由も明らかにされなかった。
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