- 2024/10/23 掲載
IMF、24年の米成長率見通し引き上げ 中国・日本は下方修正
[ワシントン 22日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は22日に公表した最新の世界経済見通しで、米国、ブラジル、英国の2024年の経済成長率予測を引き上げ、中国、日本、ユーロ圏を引き下げた。武力紛争や新たに貿易戦争が勃発する可能性、金融引き締め策の影響といったリスク要因が山積していると指摘した。
世界の成長率予想は3.2%で据え置いた。25年については7月時点の予想から0.1%ポイント引き下げて3.2%とした。中期的には、5年以内にコロナ禍前のトレンドを大きく下回る3.1%に低下すると見込んだ。
IMFチーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は、米国、インド、ブラジルが底堅さを示しており、雇用が大幅に悪化することなくインフレが沈静化するソフトランディング(軟着陸)を達成したと述べた。
「一部の国で物価上昇圧力が残っているが、世界的なインフレとの闘いは総じて勝利したようだ」とブログに投稿した。
ロイターのインタビューでは、インフレが落ち着く中、一部の国では金利が引き下げられずに金融政策が「機械的に」引き締め過ぎとなり、成長と雇用の重しとなるリスクがあると語った。
「現在、大半の地域で金融政策が望ましい状況にあると評価しているが、インフレが今後も低下し続けるなら、中央銀行は経済活動の面で何が起きているかに注意を払い始めなければならない」と指摘した。
<米は消費好調で成長率引き上げ>
24年の米成長予測は0.2ポイント引き上げて2.8%とした。賃金や資産価値の上昇で消費が想定よりも強くなると見込んだ。25年も0.3ポイント上方修正し、2.2%とした。
ブラジルについては、24年を0.9ポイント大幅に引き上げて3.0%成長を予想。一方、メキシコは金融引き締め策の影響で0.7ポイント下方修正して、1.5%となった。
中国は24年を0.2ポイント下げて4.8%と予想。不動産部門の長引く低迷や軟調な消費者信頼感を、純輸出の増加が一部補うと見込んだ。25年の予想は4.5%で据え置いた。
日本は24年を0.4ポイント引き下げ0.3%とした。供給寸断の影響が残っているとした。
ドイツは製造業が引き続き苦戦していることから今年を0.2%からゼロに下方修正した。これを受けてユーロ圏の24年の成長率見通しは0.8%、25年は1.2%にそれぞれ低下した。
英国は24年が0.4ポイント引き上げられ、1.1%となった。インフレや金利の低下で消費者需要が喚起されるとの見通しを示した。
<貿易リスク>
世界経済の下振れリスク要因としては、米国とユーロ圏、中国の間で10%の双方向関税、さらに米国がその他の国々に10%の関税を課すシナリオや、米国と欧州への移民減少、金融状況の逼迫につながる市場の混乱を挙げた。これが現実になれば、世界全体の国内総生産(GDP)を25年に0.8%、26年には1.3%低下させると予想。
また、中東とウクライナでの紛争が拡大した場合、原油やその他商品の価格が急騰するリスクにも言及した。
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