- 2024/10/15 掲載
パリ自動車ショー、逆風のなか中国勢が攻勢 低価格武器に
[パリ 14日 ロイター] - 欧州最大の自動車ショー、パリ自動車ショーが14日開幕した。欧州が中国製電気自動車(EV)の輸入関税強化に動く中、比亜迪(BYD)や浙江零?科技(リープモーター・テクノロジー)など中国メーカー9社が最新モデルを披露する。
欧州連合(EU)は今月初め、中国製EVに追加関税を課す案を僅差で可決した。安価な中国製EV流入から欧州の自動車メーカーを守る狙いがあるが、中国、欧州双方のメーカーがリスクを指摘する。
BYDのエクゼクティブバイスプレジデントのステラ・リ氏はロイターに「ツケを払うのは誰か。消費者だ」と述べた。
ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は、中国メーカーが関税上乗せを嫌って欧州に工場を設立すれば域内の生産能力過剰に拍車がかかり、地元メーカーが工場閉鎖に追い込まれると警告した。
中国メーカーはEUの動きを批判しつつ、欧州事業拡大計画を進める。今のところ、関税引き上げに伴う値上げの話は出ていない。
広州汽車(GAC)は13日、今回のショーが欧州における攻勢のスタートだとロイターに語った。リープモーターは14日、2025年末までに欧州で500の販売拠点を持つことが目標だと述べた。
EVの価格は、中国メーカーが欧州勢より若干安い。中国各社は装備の充実さもアピールしているが、すでに欧州全域で販売し今夏の欧州サッカー選手権の公式スポンサーを務めたBYDでさえ、ブランド認知度はまだ相対的に低い。BYDは今回、SUV「シーライオン07」でヒットを狙う。
中国EV市場の競争激化を受け、東風汽車、賽力斯集団(セレス・グループ)、第一汽車集団(FAW)などの新規参入組も海外に活路を求めている。ただ欧州でも、EVの価格をガソリン車並みに下げようとする動きがある。「個人的な見解だが、欧州では(EVとガソリン車の)価格平準化が2─3年以内に起こると思う。競争に勝ちたいならその目標に向かって努力する必要がある」とリープモーター・インターナショナルのTianshu XinCEOは語る。
<苦境の欧州勢>
欧州勢は厳しい経営環境にある。フォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、BMWは中国市場の低迷で、ステランティスは米国事業の在庫問題を理由に業績予想を下方修正した。
フォルクスワーゲンは経費削減のための国内工場閉鎖や人員削減に激しく反発する労働組合への対応にも苦慮している。
中国勢は比較的低いコストで、わずか2年という欧州勢の半分の期間で新型EVを開発する。コスト抑制能力とスピード感に欧州勢はなかなか追いつけない状況だ。
関連コンテンツ
PR
PR
PR