• 2024/09/21 掲載

小林製薬の紅麹被害、全容解明道半ば=「脱創業家」も―発覚から22日で半年

時事通信社

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小林製薬の紅麹(べにこうじ)配合サプリメントによる健康被害問題は、22日で発覚から半年となる。同社は「脱創業家」を掲げて経営トップを交代し、再発防止策も発表。企業風土の改革や顧客への信頼回復に取り組む。ただ、原因物質と特定された青カビ由来の「プベルル酸」の混入経路などはいまだに把握できず、全容解明は道半ばだ。

同社が機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」などの自主回収を発表したのは3月22日。以降、サプリ摂取との関連が疑われる死亡者に加え、健康被害を訴える利用者が相次いでいたことが明るみに出た。また、社内で被害を確認してから公表まで約2カ月かかったほか、死亡者の数を厚生労働省に過少報告していたことも判明。3月下旬に記者会見を開いて以来、経営トップが4カ月以上も公の場に姿を現さないなど、情報公開の姿勢も問題視された。

小林製薬は7月、会長の小林一雅氏と社長の小林章浩氏が退任する人事を発表した。後任社長の山根聡氏は一連の問題の背景として、創業家が経営に深く関わってきた同社特有の「同質性」を挙げた。その上で「同質性を排除し、多様性を強化する」として、創業家一族の意向に左右されない経営体制を目指しているが、実現は容易ではない。

退任後も一雅氏は月額200万円の報酬を受け取る特別顧問に就き、章浩氏は補償担当の取締役として経営陣に残った。山根氏は「忖度(そんたく)しない」と創業家への配慮を否定するが、「われわれの行動、結果を見ていただくしかない」とも述べ、「脱創業家」の難しさもにじませる。

今月18日には、厚労省が原因物質について「プベルル酸」だったと特定した。それでも、具体的な混入経路、混入を許してしまった安全管理体制の実態、責任の所在など不明な点は多い。全容解明は「非常に難しい」(山根氏)と判断し、同社は再発防止策の策定を先行させた。解明が進めば、新たな再発防止策も求められる。被害者への補償の規模や業績への影響など、経営にとって不透明な要因は山積している。

【時事通信社】 〔写真説明〕小林製薬の本社が入るビル=7月23日、大阪市中央区

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