- 2024/09/18 掲載
日鉄のUSスチール買収再申請へ、米政府の判断は大統領選後に
Jeff Mason
[17日 ロイター] - 日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画を審査している米当局の対米外国投資委員会(CFIUS)は、両社による再申請を認めた。事情に詳しい関係筋が17日に明らかにした。
両社が改めて申請することで新たに90日間の審査が開始する。買収に関する判断は11月の米大統領選挙後に持ち越される見通しとなった。
同筋によると、CFIUSは同計画の国家安全保障への影響を理解し、当事者と協議するのにより多くの時間が必要としている。
USスチール買収には大統領選を戦う民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領が反対し、全米鉄鋼労働組合(USW)も強く反発。
CFIUSが8月31日に両社に書簡を送り、国家安全保障にリスクをもたらすとの懸念を伝えたことが分かっており、阻止される公算が大きいとみられていた。判断先送りにより買収成立の期待がつなぎ留められた格好となった。
日鉄は、CFIUSの審査についてはコメントしない、とした。
CFIUS、USスチールからは今のところコメントを得られていない。
CFIUSの弁護士を務める法律事務所DLAパイパーのニック・クライン氏は審査延長で「両社に対する圧力が多少緩和し、さらに重要なのは判断が11月の大統領選後に持ち越されることだ」と指摘した。
ホワイトハウスは17日、バイデン大統領とハリス氏は引き続き、USスチールが米国内で所有、運営されるべきだと考えているとコメントした。
USWは17日、「日鉄の買収が国家安全保障にもたらすリスクや、既に特定されている供給網上の重大な懸念について何かが変わったわけでは全くない」として、改めて反対する姿勢を示した。
日鉄はCFIUS宛ての100ページに及ぶ回答書で、USスチールの生産施設の維持・拡張に数十億ドルを投じ、確実に「米国内の鉄鋼生産能力を維持し、引き上げる余地もある」と表明。米国内の生産能力や雇用を国外に移転させることはないと改めて確約した。
この件について森屋宏官房副長官は18日午前の会見で、個別企業の経営に関する事案でコメントは控えるとしたうえで、日米相互の投資拡大を含めた経済関係の一層の強化、インド太平洋地域での持続的・包摂的な経済成長の実現、経済安全保障分野の協力は「互いにとって不可欠」との認識を示した。
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