- 2024/09/04 掲載
日本企業への買収提案増加へ、海外勢との連携が選択肢に=BofA証券投資銀部門長
[東京 4日 ロイター] - BofA証券の投資銀行部門で企業のM&A(合併・買収)や資金調達を手掛ける小森雄太・共同部門長は、足元で倍増している海外勢の日本企業買収について、今後さらに増えるとの見方を示した。経営が大きく変化する日本企業への関心が高まっているほか、日本企業自身も成長を模索し海外企業と組むことに抵抗感が薄れているとした。
小森氏はBofA証券が都内で開いた機関投資家向けイベントに合わせて3日にロイターのインタビューに応じ、海外の企業やファンドからの買収提案の動きは「活発化していてセクター問わず起きている。今後ますます増加する」と述べた。
ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータによると、海外勢による日本企業の買収は2024年1―6月期に9022億円と前年同期から倍増した。米ブラックストーンによる電子漫画配信サイト運営のインフォコムや、米カーライルグループによる日本KFCホールディングスなど投資ファンドが中心だが、8月にはカナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールが同業のセブン&アイ・ホールディングスに買収を提案したことが表面化した。
背景には、日本企業が資本効率を高めたり、企業統治を向上させようとする中で、いまだ成長の余地が大きいとみられていることや、円安でドルベースの企業価値が低いことなどがある。持ち合い解消による政策保有株の売却なども増加しており、小森氏は「日本の資本市場は、いま世界で最も動きのある市場」と語った。
小森氏は、個別の企業に関して言及しなかったが、外資の導入を含めて日本企業自身が海外勢と組むことを敬遠しなくなってきたことも要因として指摘。水面下で届いた買収提案を検討しないこともある日本企業にとっては、経産省による企業買収指針の策定など外部環境も含めて企業価値を高めるための選択肢として考える素地が整い始めたという。
「国内で事業を強化する、海外に行って強化するという選択肢と同じように、海外の企業と組むことで、企業価値をどう向上できるのかという選択肢が当然のように出てきている」と述べた。
バンク・オブ・アメリカ傘下のBofA証券が04年から毎年この時期に開くイベントは今回、海外機関投資家の参加者が2年連続で増加した。日本企業の参加数も前年を2割強上回り、200社超に上った。
登壇した日本取引所グループの山道裕己最高経営責任者(CEO)は、東証が求める日本企業の改革はさらに続くと強調。企業業績は伸長し、高水準の配当支払いや自己株取得が増加、企業統治も改善していると評価した。日銀の追加利上げや米景気の後退懸念で8月上旬に株価が急落したが、「長期的なポジティブアウトルックは変わっていない」とし、日本市場への投資を訴えた。
(浦中美穂 編集:久保信博)
PR
PR
PR