- 2024/08/23 掲載
豪ANZに自己資本積み増し命令、債券取引部門の不祥事巡り
[23日 ロイター] - 豪健全性規制庁(APRA)は23日、オーストラリア第3位の銀行ANZに対し、リスク文化に懸念があるとして自己資本を2億5000万豪ドル積み増すよう命じた。同行は債券取引部門で広範囲にわたり不正行為が行われていたとされる。
APRAは2019年にANZを含む大手銀行に課した5億豪ドル(3億3500万米ドル)の資本積み増し措置を見直す予定だった。しかし見直しを行う代わりに、同行に対してさらに2億5000万豪ドルを追加で積み増すよう求めた。
また同行と証券規制当局が進めている調査に加え、外部機関に委託して債券取引部門の問題の原因を調査するよう指示した。
報道によると、ANZの複数のトレーダーは23年の国債の取引額を虚偽報告していた。トレーダーらはその後、解雇や停職などの処分を受けた。
APRAのロンズデール長官は声明で、「ANZは強固な資本と流動性を有し、財務的には健全だ」としながらも、「非金融リスクの管理における弱点が財務に悪影響を及ぼす恐れがあり、そのような弱点が続くことを容認しない」と指摘した。
ANZの取締役会と経営陣に対し、問題の根本的な原因に対処するよう求めているとし、「ANZの独立した調査の結果次第で、さらなる措置が必要かどうかを検討する」との考えを示した。
ANZは声明で、APRAの懸念を認識しており、問題に対処するためにすでに進めている作業を加速させていると説明した。銀行は独立調査の範囲について規制当局と協力しているとした。
E&Pのアナリスト、アジブ・カーンは、「われわれが懸念している主なリスクは、ANZがAPRAに対して、管理、リスク文化、企業統治、説明責任の問題を改善するために強制力のある約束を求められることだ」と述べた。
ライバルのウエストパック銀行はAPRAが20年にリスク管理に関する介入を行って以降、4年間混乱が続いており、「ANZも同様に数年にわたって業務の不振に陥るリスクがある」との見通しを示した。
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