- 2024/06/27 掲載
米大手行、厳しい情勢下でも十分な自己資本保有 FRB健全性審査
[ワシントン 26日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が26日に公表した2024年の銀行ストレステスト(健全性審査)で、対象となった大手行が厳しい経済情勢や市場の混乱に耐えられるだけの十分な自己資本を保有していることが分かった。
ただ、よりリスクの高いポートフォリオを反映し、想定される損失が拡大することも明らかになった。
ストレステストでは、大手31行が失業率の急上昇、市場の激しい変動、住宅・商業用住宅ローン市場の落ち込みに直面しても、融資を継続するのに十分な資本を維持できることが判明。FRBは各行の優良資本水準が最も低い場合で9.9%まで低下すると試算したが、規制の最低水準の2倍以上に相当する。
FRBが比較的健全と判断したことで、各行は今後、自社株買いや配当を含む資本計画の発表が可能になる見通し。FRB当局者は、28日の金融市場の取引終了後に資本計画を発表できるとの見通しを示した。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのリサーチディレクター、クリス・マリナック氏は「特に商業用不動産などの分野で、ここ数年に比べ損失が若干増加すると予想していたので結果はポジティブサプライズだ。銀行の健全性を示している」と語った。
今年のストレステストは昨年とほぼ同様で、想定される損失が拡大したのは銀行のポートフォリオが変化したことが要因だとFRBは説明している。
厳しいシナリオに基づく銀行の損失額は全体で6850億ドル。自己資本比率は平均で2.8%ポイント低下し、18年以降で最も大幅な落ち込みとなった。
自己資本比率トップはチャールズ・シュワブの25.2%。バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ノーザン・トラスト、ステート・ストリート、ドイツ銀行とスイスUBSの米国事業も2桁台だった。
一方、地銀は規制の最低水準に近い結果となった。BMO、シチズンズ・ファイナンシャル・グループ、HSBCはいずれも7%を下回った。
大手4行は全て最低基準を大きく上回り、JPモルガンが12.5%で最高、ウェルズ・ファーゴが8.1%で最低だった。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は9.1%、シティグループは9.7%。
業界関係者は銀行の強固な状態を示すとして今回の結果を歓迎するとともに、大手行の資本要件厳格化に向けたFRBなど規制当局の取り組みを批判した。
FRBはクレジットカード事業が想定される損失の4分の1以上を占めると指摘。大手行のクレジットカード残高が昨年1000億ドル以上増加し、延滞率が40%超上昇したことに言及した。
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