- 2024/06/21 掲載
アングル:機関投資家、日銀買い入れ減額に備え短期債ショート
[シンガポール/香港 21日 ロイター] - 世界のファンドマネジャーや投資家は、日銀が表明した超緩和政策からの段階的脱却をにらみ、最も短期の日本国債をショートにし、一段の円安進行に備えたポジションを取っている。
3月にマイナス金利政策を解除した日銀は、先週の金融政策決定会合で、国債買い入れを今後1―2年程度かけて減額する計画を次回7月の会合で決めることを決定。7月にも再び利上げする可能性があるとみられている。
投資家は、量的引き締めのペースが不確実で遅いこと、日本国債のショートをしばらく続けることのコスト、利上げしても日本の金利が他の市場よりもはるかに低いという要因を考慮してポジション調整している。
ウェリントン・マネジメント(ロンドン)のポートフォリオマネジャー、マーティン・ハーベイ氏は、主に短期金利の上昇で国債利回り曲線が平坦化すると予想。日銀がすでに長期国債の買い入れを縮小していると指摘し、「30年債利回りは2008年以前から見られなかった水準に近づき、すでに大幅に上昇している」と述べ、日銀が利上げを加速させ短期金利が上昇すれば利回り曲線の平坦化につながると指摘した。
PIMCO(東京)の日本債ポートフォリオマネジャーの覚知禎エグゼクティブ・バイス・プレジデントは、日銀が期間10年までの国債購入を減らしていることもあり、長めの利回りが適正水準にあると考え、当該国債をショートにしている。長期債は日銀の政策の影響がおそらく最も小さいとし、5年債や10年債より安全な領域になるとの見方を示した。
<円売り>
円は今年、対ドルで約11%下落。ユーロをはじめ多くの通貨に対しても下落している。
外国人投資家は短期国債から資金を引き揚げている。6月14日までの週は約1兆1400億円相当を売却し、約1カ月ぶりの高水準となった。
マクロヘッジファンドのホン・インベストメント・アドバイザーズのシュン・ホン・リウ最高投資責任者(CIO)は、日本国債について最近まで中立だったが、今はショートにしていると述べた。
しかし、日本国債をショートにすることは、そのコストに見合うほど利回りが上昇するかなどリスクもある。日銀の政策正常化への賭けは誰もが手がけられることではない。
JPモルガン証券のクオンツ・ストラテジスト、高田将成氏によると、スワップや先物など日本国債関連アセットのマクロファンドのショートポジションは05年以降で99パーセンタイルの水準で20年ぶりの高水準。日銀のスタンスが不明瞭でマクロファンドが予想するほどタカ派でない可能性もあり、リスクがあると指摘した。
一部の投資家は、すでに何カ月もやってきたように円キャリートレードの一環で円ショートにして日銀の政策修正に対応する方が簡単だと考える。
M&Gインベストメンツのマルチアセットファンドマネジャー、ゴータム・サマース氏は、日銀のタカ派姿勢にもかかわらず「一部の高キャリー通貨との金利差は依然大きい」とし、「現在の水準なら国債ショートを志向するところだが、取引の相互関連性を考えると、エクスポージャーを取る方法として円ショート取引がよりすっきりしている」と述べた。
PR
PR
PR