- 2024/06/21 掲載
異例の国管理、再建不透明=手腕問われる金融庁―じもとHD
じもとホールディングス(HD)が国の実質管理下に入る異例の事態となった。金融危機の阻止を目的とした過去の「実質国有化」とは異なるが、傘下のきらやか銀行は3度も公的資金注入を受けながらいまだ再建のめどが立たず、返済も滞る。国が議決権の過半を握ったことで、金融庁の手腕がこれまで以上に問われそうだ。
じもとHDが今回の事態に陥ったのは、2024年3月期決算で2期連続の純損失を計上し、無配となったためだ。この結果、国が持つ優先株に自動的に議決権が発生した。
これまで預金保険法に基づき、りそな銀行や足利銀行が実質国有化された例はあるが、いずれも金融システムへの危機波及を防ぐため国が主体的に介入したケース。きらやか銀への公的資金注入は地域経済活性化を目的とした金融機能強化法に基づくもので、鈴木俊一金融相は「(今回は)金融危機対応として行われる国有化とは全く性格を異にする」と指摘する。
ただ、きらやか銀は23年9月にコロナ禍の特例措置で新たに180億円の公的資金を受け入れたばかり。じもとHDも経営強化計画をまとめ、金融庁の承認を得ていた。1年もたたず業績がさらに悪化し、今年9月の200億円の公的資金返済も困難となり、同庁の監督責任は免れない。
日銀のマイナス金利政策解除で「金利のある世界」が到来。優良な貸出先を巡る競争の激化は必至で、業績改善は容易ではない。じもとHDは今月末にも経営強化計画を再提出するが、金融庁幹部は「(同庁の)責任は重くなっている」と気を引き締める。
【時事通信社】
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