- 2024/06/12 掲載
24年世界成長率2.6%に上方修正、世銀 米が好調 日本は引き下げ
ただ、25年および26年の世界成長率見通しはともに2.7%と、コロナ禍前の10年平均である3.1%を下回った。世界の人口と国内総生産(GDP)の80%を占める国々で、コロナ禍前と比べ、26年まで成長が鈍化する見通しとした。
世銀のアイハン・コーゼ副チーフエコノミストはロイターとのインタビューで「ある意味、ソフトランディングへの滑走路が見える」とし、米国など主要経済国では金利の急上昇が大規模な失業といった混乱を引き起こすことなく、インフレが抑制されたと指摘。同時に、世界の成長が「低速レーンから抜け出せない可能性は悪いニュースだ」と語った。
世銀はまた、今後3年間の金利が2000─19年の平均の倍の水準で推移し、成長にブレーキがかかるほか、新興国への債務圧力が増すと予想した。
<米国は堅調、日本は下方修正>
24年の米経済成長率は2.5%と、1月時点の予測である1.6%から大幅に引き上げられた。
一方、日本の成長率見通しは0.7%と、0.2%ポイント下方修正された。消費の低調な伸びや輸出の減速、観光需要の一服を理由に挙げた。
中国は4.8%と、0.3%ポイント上方修正。主に輸出の伸びが国内需要の低迷を相殺すると予想した。ただ、低調な投資や消費者信頼感のほか、不動産部門の低迷が続く中、25年については4.1%に鈍化すると見込んだ。
ユーロ圏の24年成長率見通しは、エネルギーコスト高騰や工業生産の低迷を背景に0.7%で据え置いた。
インドは6.6%と、1月の6.4%から引き上げ。堅調な国内需要を指摘した。
<下振れリスク>
長期的な高金利シナリオに加え、パレスチナ地区ガザやウクライナでの紛争の影響拡大を、世界経済見通しに対する最大の下振れリスクと指摘した。
中東での紛争が拡大すれば、海運に一段の混乱が生じ、原油価格やインフレが上昇する恐れがあるほか、ウクライナ情勢を巡る不確実性が高まれば、原油や穀物市場が混乱し、近隣諸国への投資が阻害される可能性があるという認識を示した。世界貿易量の伸びの回復が妨げられる可能性にも言及した。
また、多くの国で高まる保護主義や産業政策が世界のサプライチェーンの非効率を増大させ、新興国などへの投資が減少する可能性があるほか、中国の景気後退が深刻化すれば、とりわけ資源輸出国などの成長が阻害されるおそれも指摘した。
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