- 2024/06/11 掲載
日銀、消費マインド悪化に懸念 経済・物価は想定通り
[東京 11日 ロイター] - 日銀が13―14日に開く金融政策決定会合は、国債買い入れの減額が焦点の一つとなるが、経済物価情勢に関しては、日銀内に4月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で示したシナリオ通りとの見方がある。ただ、消費マインド悪化を懸念する声が聞かれるほか、基調的な物価上昇率を押し上げるような経済指標は出ていないとして、現時点での追加利上げには慎重な見方が多い。
日銀は12日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)の内容や市場動向なども確認した上で最終判断する。
<消費マインド>
1―3月期の実質国内総生産(GDP)は2次速報で前期比年率マイナス1.8%となった。日銀では、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響が大きく、想定の範囲内との声が出ている。1―3月期まで4四半期連続マイナスとなった消費についても、6月から始まる定額減税と今後徐々に波及していく賃上げにより、持ち直していくとの見方が依然として根強い。
ただ、日銀では消費マインドの悪化を懸念する声が増えつつある。
5月消費動向調査によると、消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)が前月から2.1ポイント低下し、昨年10月以来の低水準となった。日銀ではこれまで、改善基調の消費マインドが消費回復を支えるとの期待があったが、消費マインドの悪化が先行きの消費押し下げにつながるとの見方も出ている。
歴史的な円安傾向も、消費に悪影響をもたらすリスクとして意識されつつある。日銀では、円安は輸入物価を通じて物価の上昇圧力につながるものの、景気面への影響も注意すべきとの声が目立つ。物価高で消費が抑制されれば、企業の価格転嫁が進まず、基調的な物価にはネガティブに作用する。
<サービス価格・賃金、伸び率拡大はまだ>
4月の企業向けサービス価格指数は消費税率引き上げの影響を除けば1991年9月以来の高い伸び率となった。日銀では、企業向けという「川上」で顕著になった人件費転嫁の動きが、「川下」の消費者物価指数(CPI)に波及することに期待感が出ている。
しかし、4月全国CPIではサービス価格の伸び率が2%を割り込んだ。春闘で示された高い賃上げ率も、毎月勤労統計の賃金上昇率で波及を確認するにはまだ時間を要する。サービス価格、賃金ともに統計データを引き続き見ていく必要があるとの声が日銀では多い。
日銀内には、4月会合以降の経済指標を見る限り、基調的な物価上昇率を押し上げる材料は出てきていないとの声があり、現時点での追加利上げには慎重な声が多い。
一方、市場では今回の会合で国債買い入れの減額が決まるとの見方が根強い。日銀内では、債券市場の予見可能性を高める上で新たな指針を示すべきとの意見がある一方、買い入れ減額はより時間をかけて行うべきだとの声もある。
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