- 2024/06/03 掲載
インタビュー:USスチール買収で米世論形成、成功への自信より強く=日鉄副会長
[東京 3日 ロイター] - 日本製鉄の森高弘副会長は、ロイターとのインタビューに応じ、米鉄鋼大手USスチールの買収に関連し、米国内で日鉄による買収を進めるべきという世論を形成し、そういう意見が組合の背中を押し、議論できるようになることを望んでいると述べた。今週再び訪米し、ワシントンも訪れる予定だという。
森氏は5月20日から26日まで米国を訪れ、ビジネスリーダーや4人の上院議員、コミュニティーリーダーなどと幅広く会ってきた。直接話をすることで、正しく、適切に買収意図を伝えることが目的だったという。「(日鉄による買収を)進めるべきだという世論形成をしたいし、そういう方々の意見が組合の背中を押して、(組合が議論の)テーブルにつくというところに持って行ければいいと思っている」と述べた。
主に雇用面を懸念する人が多いUSスチールの製鉄所があるモンバレー(ペンシルベニア州)では、150人以上に対して、説明と質疑応答を行った。「非常に前向きな成果があった」という。赤字だったスタンダードスチール社を住友金属工業(当時)が2011年に買収し、今回同様に技術移転や優秀なエンジニアの派遣などを行って2013年には黒字化を果たした例なども挙げて説明したという。
森氏は「日鉄との組み合わせがベストだという話をして、共鳴してくれる人が広がっている」と手応えを強調。「予定通り年末までにクローズすることになると思う」とし、成功への自信は「より強くなっている」と語った。
ただ、全米鉄鋼労働組合(USW)のデビッド・マッコール会長とは、予定が合わないということで、今回の訪米では会談できなかった。3月の会談以降、何度もオファーしているものの会えておらず「こちらの条件が十分ではないと言うが、何が十分ではないのかはっきりしない。テーブルについて話さないと分からないと思う。こちらはオープンに待っている」と述べた。
森氏は、米大統領選挙が終われば「票」としての意味がなくなるため、政治化することがなくなるとし「誰が大統領になったとしても、米大統領選挙が終わった方がスムーズにいく」との見方を改めて示した。
日本政府の対応については「十分にサポートしてもらっている」と述べるにとどめ、詳細は明らかにしなかった。
*インタビューは5月30日に実施しました。
PR
PR
PR