- 2024/05/24 掲載
中銀は不確実性受け入れるべき、米クリーブランド連銀総裁が提言
[フロリダ州アメリア島 24日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、経済と金融政策に関するより詳細な説明にこれまで取り組んできたが、新型コロナの流行後に経済が流動的になり、物事の仕組みにも不透明性が取り巻く中で、正確さはあだになるかもしれないとの考えを示した。
同総裁は40年近く連邦準備理事会(FRB)に勤め、6月に定年退職する。今週アトランタ地区連銀が主催した会議の合間に行われたロイターとのインタビューに応え、「市場はもちろんFRBがいつ金利を引き下げるかを正確に知りたがっている。それが市場の関心事だ」とし、「一般の人々はたくさんの複雑な話を聞きたいわけではない。FRBが本当はどう考えているのかを知りたがっている」と語った。
「FRBは徐々に透明性を高めてきた。しかしわれわれに予知能力があるわけではなく、物事がどうなるか正確には分からない。経済が予想と大きく異なる方向に展開するなら、政策はそれに対応すべきだ」と話した。
未知の要素が多いことを踏まえると、FRBは政策について語る際に不確実性をもっと反映させるべきと指摘。一つの基本(modal)予測ではなく、いくつかの最も可能性が高いシナリオに重点を置くべきと述べた。そうすれば経済が予想外の動きをした際に政策当局者がどう反応するかに人々はよく理解できるようになると説明した。
「基本予測だけを伝えれば、経済についての実際の見方を誤って伝えていることになる」と述べ、新型コロナ流行初期の経済予測は見通しを立てることが難しい前提に基づいていたと振り返った。
FRBは政策の策定方法や実行のための手段、決定を伝える戦略について、今年見直しを開始する。
メスター氏はコロナ禍では経済見通しは感染やウイルスの変異、ワクチンに関する要素に左右されるため、中央銀行関係者は疫学者やウイルス学者の役割を担うことになったと述べた。
同様に、供給ショックがすぐに解消されると想定できなくなったり、特定の金利水準に対して経済が以前とは異なる反応を示すことが判明したりした場合、経済モデルや予測は根拠を失うことになると語った。
「不確実性が高まるため、より機敏にならなければならない」と訴えた。2021年のインフレ上昇は当初「一時的」なものと想定していたために利上げが遅れたとし、本来ならもっと早く利上げを開始し、リスクを回避することができたとの見方を示した。
FRBがどれだけのことを知らないかについて、より良いコミュニケーションができれば将来的にこのような間違いを避けることができるとの考えを示した。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明や議会への金融政策報告書などで、最も可能性の高い複数の経済シナリオとそれに対するFRB当局者の「反応関数」を示すことを提言した。
こうしたアプローチをFRB内で共有するのは難しいかもしれないが、人々の具体的な予想が膨らんだ後で間違いだと判明するよりも、起こり得る結果の範囲について率直に話す方が中銀の信頼性を高めるとの考えを示した。
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