- 2024/05/22 掲載
アングル:中国株に戻り始めた国内投資家、外国勢は慎重姿勢維持
[上海/ロンドン 22日 ロイター] - 中国の株式市場では、経済テコ入れに本腰となっている政府の姿勢が好感され、国内投資家の間では押し目買いが広がりつつある。しかし外国投資家は今後に期待を持ちつつも、なかなか買いに動こうとはしていない。
2月以降、中国政府は消費喚起や低迷する不動産セクターへの財政資金投入、株価下支えなどの措置を打ち出し、先週には売れ残り住宅の解消策を発表した。
こうした中で2月に数年来の安値に沈んでいた株価は反発。上海総合指数は、最新の不動産市場対策が明らかになった17日以来で3%余り上昇し、一時3カ月半ぶりの水準となった。香港上場の中国銘柄も38%近く上がっている。
資金フローのデータを見ると、この株高は、新型コロナウイルスのパンデミック中にいなくなった中国本土投資家が市場に戻ってきたことが主因で、外国人の資金はごくわずかに過ぎない。
アビバ・インベスターズのマルチ資産ファンド責任者スニル・クリシュナン氏は、中国政府がこれまでに発表した経済対策はまだ国内総生産(GDP)を相当程度押し上げる効果を発揮する規模に達しておらず、投資環境は厳しいとの見方を示した。
クリシュナン氏は、傘下のファンドが中国において積極的なポジションを全く構築していないが、不動産市況が持ち直せば間接的な恩恵を受けられるよう、コモディティーに投資していると現状を説明。「中国の政策が必要な現実にはっきりと目覚めたように見える」段階に至れば、投資ポジションを「弱気」からより中立的に切り替えなければならなくなると付け加えた。
先週発表された不動産市場対策の目玉の一つは、国有企業による売れ残り住宅買い取り支援のための人民銀行(中央銀行)による3000億元(414億6000万ドル)の資金枠設定。ブルーベイ・アセット・マネジメントのストラテジスト、チェンボ・フー氏は、数字的にはやや期待より低いとしながらも「当局はもはや問題の存在を否定せず、認識しつつある。これらを解決すべきだという市場の意見に歩み寄っているからこそ、金融資産がポジティブな方向に反応している」と一定の評価はしている。
<資金フローの真実>
ただ中国経済がより持続的に上向く兆しを探している外国人投資家は、追加的な対策を熱心に要望し、今のところ買いをためらっていることが、資金フローのデータから分かる。
LSEGのリッパーのデータベースにあるそれぞれ3000本余りの中国株ファンドと日本株ファンドの資金フローを分析したところでは、今月こそ中国株ファンドは買い越されているものの、年初来では12億ドルが流出し、日本株には180億ドルが流入している。
BNPパリバ・アセット・マネジメントのシニア市場ストラテジスト、チー・ロー氏は、外国人投資家の中国株に対する弱気度は明白に薄れてきたとはいえ、他の市場から乗り換える態勢にはなっていないと指摘した。
ロー氏は「中国に戻す資金がある程度増えている。しかしそれは投資家が現時点で余分に保有していた資金だ。彼らはまだ日本にもインドにも強気姿勢を維持している」と述べた。
レイリアント・グローバル・アドバイザーズのジェーソン・シュー最高投資責任者は、長期的な資金運用担当者の大半は、11月の米大統領選にかけて米中関係改善の糸口が出てくることや、中国政府がより大規模な経済対策を実施するのを待っているとの見方を示した。
平安証券がまとめたデータによると、中国本土の株式上場投資信託(ETF)の4月の買い越し額は236億元と3月の10倍に膨らんだ。
だが中国に投資する国際的なETF、例えばクレーン・ファンズ・アドバイザーズのクレーンシェアーズETFやブラックロックのiシェアーズ中国大型株ETFなどへの資金フローは低調なままで、数カ月にわたって売り越しが続く。
中国株について中立ないしアンダーウエートを推奨しているクレーンシェアーズのブレンダン・アハーン最高投資責任者は「中国株を買っているのは中国の投資家だ」と述べた。
約6510億ドルの資産を運用するプリンシパル・アセット・マネジメントのジョージ・マリス最高投資責任者兼株式グローバル責任者は、中国株に対する見方が弱気方向に振れ過ぎていると話す。
マリス氏自身は、ハイテクを含む複数のセクターについては強気で、昨年9月以来中国に資金を再配分している。
それでも国際的な投資家が中国株全般を評価し直すのは、まず本格的な上昇が起きた後になるだろうという。
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