- 2024/05/10 掲載
焦点:利下げに向かう欧州、動けないFRB 乖離拡大で市場は転換点に
[ロンドン 9日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は、借り入れコストが米国よりも欧州においてより早期に低下し、低下幅もより大きくなるとの新たなシグナルを発した。投資家は欧米間で広がる金融政策の乖離を注視しており、市場は大きな転換を迎えることになりそうだ。
利下げが実施されれば消費支出の押し上げにつながり、インフレの軟化は債券を下支えし、通貨安は輸出を押し上げることから、投資家は欧州の株式と債券が今年の世界市場をリードするとみている。
英央銀は9日、政策金利を16年ぶり高水準の5.25%に据え置く一方、インフレ見通しを引き下げたことから、市場では緩和観測が強まった。
スウェーデン中銀も今週、2016年以来の利下げを実施。スイス中銀も3月に利下げに転じた。欧州中央銀行(ECB)は6月の利下げを示唆している。対照的に、米連邦準備理事会(FRB)は高金利をより長期的に維持する方針だ。
スイスのロンバード・オディエ・インベストメント・マネジメントのマクロ部門責任者であるフロリアン・イエルポ氏は「これは欧州版ピボット(金融政策転換)だ」とし、欧州株と英国株に前向きな姿勢を示した。20年以降、米国は世界株の上昇分の大部分を占めてきた。
ニュートン・インベストメント・マネジメントのマルチアセットポートフォリオマネジャー、ポール・フラッド氏は、バリュエーションを理由に英国株を買っていると述べ、英中銀の利下げ可能性がより高いとして英国債にポジティブな見方を示した。
<成長の勢い、欧州に軍配>
金融市場は、年内の利下げ幅を英中銀が55ベーシスポイント(bp)前後、ECBが70bpと予想。強いインフレになお苦慮しているFRBは43bpにとどまるとみている。
ロイターの調査によると、エコノミストは今年の米経済成長率は2.5%で、ユーロ圏の0.5%、英国の0.4%を大幅に上回るとみる。「バイデノミクス」と呼ばれる政府支出で債務と財政赤字が拡大する一方、投資は増えると見込まれるためだ。
ただ投資家は、成長の勢いという点では欧州の方が好調で、長期的には欧州資産に良い影響を与えると考えている。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバルマーケットストラテジスト、ヒュー・ギンバー氏は「米経済が高い水準との比較で冷え込む半面、欧州は弱いベースからとはいえ加速している」と述べた。
米経済が息切れするとの見方もあるが、ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、キット・ジュケス氏は「短期的には、米国が債務と財政赤字を膨らませれば、米国の金利は欧州よりも高い水準にとどまるだろう」と分析した。
<先行き不透明感も>
投資家やアナリストは、欧州債は米債をアウトパフォームする可能性があるが、世界的なインフレの行方が予測しづらいため、不安定な状態が続く可能性が高いと指摘する。
ブルーベイ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ニール・メータ氏は、金融政策の乖離は外為市場に強く影響すると指摘。ドル高が続き、輸入物価の上昇を通じて欧州のインフレ加速リスクが高まっている。ユーロは今年に入ってから2.6%下落して1.07ドルを付け、英ポンドは約2%下落している。
一方、BNPパリバのエコノミスト、マシュー・スワネル氏は、欧州連合(EU)を最大の貿易相手国とする英国にとって特段のリスクではないと話す。
「英中銀はFRBより先に動くことができるし、ECBも同様だ」と語った。
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