• 2024/04/05 掲載

焦点:米国債、利下げ巡る不透明感で売り圧力 雇用統計などに注目

ロイター

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Davide Barbuscia

[ニューヨーク 4日 ロイター] - 堅調な経済指標と粘着性の高いインフレへの懸念から、投資家は米連邦準備理事会(FRB)の今年の予想利下げ幅を見直しつつあり、米国債市場は軟調に推移している。

指標となる米10年債利回りは3日の取引で4.429%と、ここ4カ月超で最高を記録した。

3日の先物市場では、投資家が今年の利下げ幅を70ベーシスポイント(bp)と見込んでいることが示された。年初時点では150bpと予想されていた。

注目すべきは、今年に3回、25bpずつの利下げを予想していたFRB自身よりも、投資家が利下げにやや楽観的でなくなっていることだ。パウエルFRB議長は3日の講演で、予想を上回る成長にもかかわらず、年内に利下げがあるとの見通しを維持した。

ウィルミントン・トラスト・インベストメント・アドバイザーズのトニー・ロス最高投資責任者(CIO)は、FRBは「利下げする」と言っているが、市場は「経済活動が好調なので、その必要はない」と言っていると分析する。

米国債利回りが上昇している理由はいくつかある。

米経済指標は一貫して予想を上回っており、FRBはインフレ再燃のリスクなしに利下げはできないと考える投資家もいる。

今週は3月の米製造業景気指数が予想を上回ったのに続き、2月の米求人件数も堅調な数字となり、労働市場の堅調さを示す別のデータも発表された。

米大手債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)は3日、6─12カ月の展望リポートで、インフレ率はFRBの目標である2%を上回って推移するとの見通しを示した。FRBが24年半ばに利下げを開始するとの見方に変わりはないが、粘着インフレのため利下げペースは他の国よりも緩やかになる可能性があるとした。

同時に、昨年10月に米国債利回りを16年ぶり高水準に押し上げた米財政を巡る懸念は消えておらず、多くの投資家がタームプレミアムの上昇を予想している。

また、原油価格が上昇を続ければ、インフレ再燃懸念がさらに強まる可能性がある。北海ブレント原油先物の3日の清算値は中東での紛争拡大懸念を受け、昨年10月以来の高値だった。

一部の投資家は、米10年債利回りが年初から50bp上昇したのを機に、FRBの年内利下げと債券価格上昇を見込んだ取引に動いた。

投資家は5日の米雇用統計と来週の消費者物価統計に注目し、現在の債券売り圧力がどの程度持続するかを見極めることになる。

ICE・BofA米国債7─10年インデックスによると、債券利払いと価格変動を含めた年初来のトータルリターンはマイナス2.1%だ。

ニューヨークのシュワブ・センター・フォー・ファイナンシャル・リサーチの債券チーフストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は、利回りがさらに上昇すれば、デュレーションの長期化で金利エクスポージャーを高める機会はまだあるとしつつも、可能性が高い取引ではなくなってきていると指摘する。

ハートフォード・ストラテジック・インカム・ファンドのリードポートフォリオマネージャー、キャンペ・グッドマン氏は、利回り上昇は利益重視の投資家を引き寄せるため、債券市場の売りがこれ以上進むことはないだろうと指摘。10年債利回りは4─4.75%の間で推移し、インフレは引き続き抑制されると予想している。

同氏は「インフレが3%台で推移するシナリオを想定しており、さほど心配していない」と語った。

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