- 2024/01/30 掲載
トヨタに「求められるまま」=グループ統治課題、「源流」で不正―豊田自動織機
豊田佐吉氏が創業し、トヨタグループの「源流」とされる豊田自動織機で、産業用エンジンを巡る不正が自動車用エンジンにも拡大した。29日発表された特別調査委員会の報告書は、不正の根本原因として、同社の「受託体質」を指摘。「トヨタ自動車から求められるままに開発を行ってきた」ことで、自らの力でリスクを把握し問題を解決する力が弱かったと厳しく指摘した。
グループ内では、この数年でダイハツ工業や日野自動車と、認証試験を巡る不正が次々と発覚している。豊田章男トヨタ会長は30日に、同社が目指すグループビジョンを発表する見通しだが、親会社の企業統治体制が問われている。
報告書では、フォークリフト用など産業エンジンだけでなく、人気車の「ランドクルーザー」などトヨタ向けの乗用車でも、エンジン性能データの「見栄えを良くする」不正行為が行われたとして、「データ軽視」の体質を指摘。背景に自動車用が主流だったエンジン事業部で「受託体質」が形成され、産業用エンジンの開発の場面でも影響を与えたとの認識を示した。
豊田自動織機は、自動車エンジン開発の不正行為に関し「トヨタとのコミュニケーションが不足し、試験の守るべき手順が十分にすり合わされなかった」と原因を説明。伊藤浩一社長は記者会見で「トヨタとの適切なコミュニケーションを再構築し、再発防止に取り組む」と話した。
東京都内で同日、記者団の取材に応じたトヨタの佐藤恒治社長は「認証制度の根幹に関わり、重く受け止める」と述べた上で、「現場を第一にした経営を徹底する」と強調。意思疎通改善のため、踏み込んだ議論を行う考えを示した。
調査委の報告書は、不正の原因として不合理な開発スケジュールも挙げており、これは、同じトヨタグループであるダイハツの認証不正の原因と全く同じだ。特別委は「そもそも法規順守か開発スケジュール順守かの二者択一という決定的な選択を迫られないような組織・体制」の整備を提言した。「上に物を言えない風土」も共通項で、グループ全体の組織風土改革は喫緊の課題だ。
【時事通信社】 〔写真説明〕豊田自動織機のエンジン不正について、報道陣の取材に応じるトヨタ自動車の佐藤恒治社長=29日午後、東京都文京区
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