- 2024/01/27 掲載
日銀、先行きの物価動向注視=都内2%割れ、「好循環」見極め
26日発表の1月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率は、前年同月比1.6%と、20カ月ぶりに日銀が目標とする2%を割り込んだ。食料品などの値上がり一服が背景にある。日銀はマイナス金利解除の要件として、賃上げが企業の価格転嫁を促し、物価を押し上げる「好循環」の実現を掲げており、引き続き先行きの物価動向を注視する構えだ。
日銀が同日公表した昨年12月の金融政策決定会合の議事要旨によると、ある政策委員が「現在、物価への強い上昇圧力は落ち着きつつあり、じっくりと賃金・物価動向を見極めることが重要だ」と指摘。何人かの委員はマイナス金利の解除について「(春闘の)労使交渉の動向を見てから判断しても遅くはない」と言及し、賃金と物価の動向を慎重に点検すべきだとの考えを示した。
都区部の指数を踏まえると、1月は全国の消費者物価も2%を割り込む可能性が高い。一方、2月は政府による電気・ガス代補助の反動で、「再び2%台の伸びに加速する」(国内証券エコノミスト)とみられている。
植田和男日銀総裁は23日の記者会見で、安定的な2%の物価目標実現について、「確度は引き続き少しずつ高まっている」と述べた。しかし、賃上げ原資確保のための価格転嫁には抵抗感も根強く、先行きの物価の伸びが再び低迷するリスクもある。「好循環」が実現するかは不透明だ。
【時事通信社】
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