- 2024/01/26 掲載
東京都区部物価、1月は22年5月以来の2%割れ 宿泊料に需要減の影
Takahiko Wada
[東京 26日 ロイター] - 総務省が26日に公表した1月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は105.8と、前年同月比1.6%上昇した。伸び率は2023年12月の2.1%を大きく下回り、日銀が目標とする2%を下回った。2%割れは22年5月以来。宿泊料の伸びが大幅に鈍化したことに加え、政府の価格抑制策の影響でエネルギー価格の下落幅がさらに拡大した。
これまでサービス価格の上昇をけん引してきた宿泊料について、専門家からは観光需要の減速が意識されるとの指摘が出ている。都区部コアCPIは政府の価格抑制策の影響一巡で2月にいったん上昇率を高めるものの、年末に2%を割り込むとの見方が聞かれた。
<宿泊料、伸び率が半分以下に>
コアCPIはロイターがまとめた民間予測、同1.9%上昇を下回った。
宿泊料は26.9%上昇で、伸び率は前月の59.0%の半分以下になった。23年1月に全国旅行支援の割引率縮小で宿泊料が高めに出ていた反動が出た。
エネルギー価格は20.1%下落で1971年1月以降で最大の下落率。内訳では電気代が22.2%下落、都市ガス代が24.7%下落。都市ガス代は71年1月以降で最大の下落率。政府の電気・ガス価格激変緩和対策により、総合指数を0.45%ポイント押し下げた。
生鮮食品を除く食料は5.7%上昇となり、前月の6.0%上昇を下回った。原材料高の価格転嫁で前年の伸び率がより高かった反動が続いている。
コア対象品目522のうち、上昇が388、下落が82、変わらずが51、非調査対象が1。
<訪日外国人観光客、今年前半は減速か>
1月の総合指数は前年同月比1.6%上昇で、前月の2.4%上昇を大きく下回った。生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)も3.1%上昇と、伸び率は前月の3.5%を下回った。23年2月以来の低い伸び率。
財・サービス別では、財、サービスともに2%を割り込んだ。財価格は1.4%上昇で21年10月以来の低い伸び率。生鮮食品の伸び鈍化やエネルギー価格の大幅下落が下押し要因だった。
サービス価格は1.7%上昇。サービス価格の伸びをけん引してきた宿泊料の伸び急減速が響いた。宿泊料は前年比の伸び率が依然高いものの、前月比では5.1%下落。ここに来て観光需要が減速している可能性がある。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・主席エコノミストは、訪日外国人観光客数が今年前半に減速すると予想している。コロナ禍で抑制されてきた海外旅行需要が欧州やアセアン諸国で一巡するほか、消費マインドの悪化などで春節に伴う中国人観光客の日本への流入もあまり期待できないとみている。国内観光客についても、高水準になった宿泊料についてこられない向きが多いという。
政府観光局によると、23年通年の訪日外国人客数は合計で2506万6100人と22年比で6.5倍、コロナ前の19年比でも約8割まで回復した。
<年末に再び2%割れか>
都区部コアCPIは、政府の電気・ガス価格抑制策による押し下げの影響一巡で2月には再び伸び率が拡大するとの見方がエコノミストの間で多い。みずほリサーチの酒井氏は2月に2%台半ばの上昇率を見込む。
ただ酒井氏は、都区部コアCPIは24年末ごろに2%を再び割り込む可能性が高いと予想する。昨年を上回る賃上げを受けて一般サービス価格で一定の上昇が予想されることに加え、政府の物価高対策が今年中に縮小・廃止されることが押し上げ要因になるものの、輸入物価低下に伴うコスト上昇圧力の一服から食料品などの伸び率縮小が鮮明となり、コアCPI前年比も鈍化傾向をたどると話す。
(和田崇彦)
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