- 2024/01/26 掲載
北陸観光、広がる風評=宿泊客減、復興へ来訪訴え―能登地震
能登半島地震は、新型コロナウイルス禍を克服しつつあった北陸地方の観光業に、再び深刻な影響をもたらしている。被害が集中した石川県北部以外の営業可能な宿泊施設でも、風評による予約キャンセルが続出。地域経済を下支えし、復興を促進するため、観光客の呼び戻しが急務となっている。
石川県南部、山代温泉(加賀市)の旅館「みやびの宿
加賀百万石」では、施設被害は軽微だったものの、書き入れ時の1月は予約の6割を失った。2月分のキャンセルはまだ少ないが、「行っても大丈夫ですか」といった問い合わせが相次ぐ。
加賀百万石は、被災地支援のため300人以上の被災者を受け入れた。一般客とは建物を分けているが、被災者を横目に旅行を楽しむことをためらう人も少なくないという。吉田久彦社長は「復興の応援にもなる。ぜひ北陸に来てほしい」と訴える。
片山津温泉(同市)の旅館「かのや光楽苑」は、液状化で一時休業を余儀なくされた。2月から再開する予定だが、予約はゼロに近い。鹿野祐司代表取締役は「遠方の人には(能登も加賀も)『石川』は一緒。コロナで大変な思いをして、これから取り戻す時だったのに」と嘆く。
加賀市の担当者は「安全だと声を大きくして言えず、自粛ムードになっている」と指摘し、被災地支援と観光振興を両立させる難しさをにじませる。
近隣県の観光地にも風評の影響は広がる。福井県あわら市によると、1~3月は宿泊予約の3割が消失。富山県では1月10日時点で、把握分だけでも2万人超、約3億円分の宿泊キャンセルが発生した。新田八朗知事は「大変な時だからこそ富山の応援になる」と来訪を呼び掛ける。
こうした中、政府が25日発表した観光需要喚起策「北陸応援割」には、「起爆剤になる」(杉本達治福井県知事)と歓迎の声が上がる。また、3月16日に開業する北陸新幹線の金沢―敦賀間延伸への期待も大きい。首都圏などからの誘客をさらに本格化させようとする矢先に出はなをくじかれた格好だが、JR西日本の長谷川一明社長は予定通り開業し、「復旧復興の原動力」とする考えを強調している。
【時事通信社】 〔写真説明〕山代温泉の旅館「みやびの宿
加賀百万石」の本館ロビーで説明する吉田久彦社長=24日、石川県加賀市 〔写真説明〕北陸新幹線の金沢―敦賀間延伸で開業を控える加賀温泉駅=24日、石川県加賀市
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