- 2024/01/25 掲載
米利下げや日銀政策への市場関心「投機にも影響」=神田財務官
[東京 25日 ロイター] - 神田真人財務官はロイターとのインタビューで、米連邦準備理事会(FRB)や日銀の次の一手を巡る思惑が投機にも影響している、との認識を示した。日銀やFRBを含め、各国当局との意見交換を通じ、各中銀の決定が市場に与える影響を注視する考えも示した。インタビューは24日に実施した。
米国の利下げや日銀のマイナス金利解除を巡り、神田財務官は「市場参加者の間では米国の利下げのタイミングやペース、あるいは日銀の今後の政策への関心が高く、これが投機にも影響している」と述べた。
そのうえで「金融政策への言及は避けるが、重要なイベントの一つ」との認識を示し、「私は常日頃から日銀、FRBを含め、各国の金融当局とは密接に意見交換を行っており、各中銀の決定が市場に与える影響も引き続き注視していくつもり」と語った。
為替相場に関しては「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映して、安定的に推移することが大事」とあらためて強調した。
金融緩和が長引いたことで「脱デフレに道筋を付ける成果があった半面、長期化した副作用も指摘される」と言及。「金融市場の機能低下で資源配分が歪んだり、持続可能でない企業を温存して経済効率を損なったり、財政規律を弱め、モラルハザードが活力を損なったという批判がある」との見方を示した。
神田財務官は「各国の金融緩和で資金がだぶつき、投機の影響が強まっている」との認識も示し、「一層しっかりと市場を注視していかなければいけない」と語った。日銀による市場との対話に関しては「しっかりとコミュニケーションにつとめておられ、今後も続けていくと思う」と述べた。
インタビューでは「投機的な動きを背景とした、急速で、一方的な動きがあると国民生活や企業活動への影響の観点から望ましくないので容認できない」とし、「そういった観点から介入した結果、投機による過度な変動に対して適切な対応をするという観点から、かなりの効果があったとみられている」と、2022年の為替介入を振り返った。
実弾介入を巡っては「市場の自律運動により過度な変動が是正されることがわかっていたり、実弾介入なしでも是正することができるとすればする必要はない」とし、「ファンダメンタルズや各国政策、市場の状況などを含めて総合的にみていくなかで、ひとつの対応を選んできている。実弾介入は多数のオプションのひとつに過ぎない」との考えも述べた。
米経済の動向については「想定されていたより強い」と指摘した。23年7―9月期の米GDPが5・四半期連続のプラス成長となったほか、「雇用も引き続き強い」とし、「ソフトランディング(軟着陸)の観測を裏付ける統計が続いている」と語った。
一方で「賃金上昇を通じたインフレ率の高止まりによって抑制的な金融環境が続いて長期化すると、消費が悪化したり、金融部門が不安定化するリスクがある」との見方を示し、「これが顕在化すると日本を含めた世界経済の減速要因や、途上国の資本市場アクセスや債務問題を悪化させる要因となり得る」とも述べた。
中国経済の影響については「不動産市場の低迷などによる景気低迷から、貿易の減速を通じて対中貿易依存度の強い国へのマイナスの影響などへの懸念が指摘されているが、日本は米国向けの輸出額が堅調で、輸出全体としては相殺されている」と指摘した。
中国からの訪日客数が低迷しているものの「全体の訪日客数はコロナ禍前の8割まで回復し、訪日客旅行消費額は過去最高を記録している」との見方も併せて示した。
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