- 2024/01/11 掲載
株価支える好循環シナリオ=急騰に警戒感も―東京株式市場
日経平均株価が約34年ぶりに3万5000円台を回復するなど、年明け以降、日本株は大幅に水準を切り上げた。堅調な株価の背景にあるのは、「賃金と物価の好循環」による企業収益拡大への期待感だ。ただ、短期間で急速に株価が上昇しており、買いの持続性には疑問の声も出ている。
小高貴久・野村証券シニア・ストラテジストは「インフレを背景に、製品への価格転嫁を行い収益が改善していることが、株高につながる」と指摘する。多くの市場関係者が今年の株価を見通すポイントとして挙げるのが、春闘の動向だ。今年は昨年以上の賃上げが予想され、これに伴い消費が促されてさらに値上げが進めば、企業の収益は上向く。小高氏は「年後半には3万8000円、場合によっては過去最高値更新もある」とみる。
企業の経営改革への期待も株価を支える。昨年は東証が資本効率改善や株価を意識した経営を企業に求め、海外投資家の買いを誘った。東証は、改善策を開示した企業名を15日に公表すると表明。さらなる改革を東証が迫る中、「企業の取り組みを期待した海外勢の日本株買いが再び強まっている」(大手証券)との声もある。
ただ、今週の急速な株高については、「日経平均が節目水準を抜け、投機筋が空売りの買い戻しを迫られた」(中堅証券)など需給要因が大きいと見る市場関係者も多い。井出真吾・ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストは、「日本企業が変わったとの考え方につながる新たな要素はない」と述べ、「短期的には一段高もあり得るが、いったん手じまい売りが出るリスクの方が大きい」と話している。
【時事通信社】
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