- 2024/01/11 掲載
賃上げ機運醸成されつつあるが、不確実性高い=日銀支店長会議
[東京 11日 ロイター] - 日銀が11日に開いた支店長会議では、賃金について、地方でも昨年よりいくぶん早いタイミングで賃上げ機運が醸成されつつあるものの「賃上げの広がりや程度等については不確実性が高い」との報告が多く出されていたことが明らかになった。日銀が会議で出された報告の要旨を公表した。
2%物価目標の実現を見据え、賃上げの広がりがどの程度になるかが焦点の1つになる。
前回10月の支店長会議では、賃金について、構造的な人手不足を背景に賃上げの継続を見込むものの、賃上げ幅は「来年春闘に向けた競合他社の動向や物価の推移などを見極めていく姿勢の企業が多い」との報告があった。11日の会議では、前回と同じく競合他社の動きを見極めたいとして現時点では賃上げ率などを固めきれていない先が多いほか、「中小企業を中心に、収益面の制約から慎重さを崩さない先も少なくない」との指摘が出た。
企業の価格設定については、これまでの原材料コスト上昇分の転嫁のペースが「鈍化している」との報告が多かった。値上げの抑制や一部商品の値下げなど、消費者の節約志向の高まりに対応した価格設定行動がみられるとの報告も複数あった。
<さくらリポート、能登半島地震の影響盛り込まず>
日銀が同日公表した地域経済報告(さくらリポート)では、全9地域中、東海と九州・沖縄の2地域で判断を引き上げる一方、近畿は判断を引き下げた。
能登半島地震で北陸は被害を受けたが、地震の影響は盛り込まれていない。支店長会議では、植田和男総裁が「地域の金融機能の安定維持に努めつつ、地域経済への影響について、今後よくみていきたい」と述べた。
(和田崇彦、山口貴也)
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