- 2024/01/05 掲載
NY市場サマリー(4日)ダウ小幅高、ドル上昇、利回り上昇
FRBの政策見通しを左右する可能性があるとして、投資家は5日に発表される2023年12月の米雇用統計に注目している。
終盤の取引で主要通貨に対するドル指数は小幅上昇し、102.44を付けた。
12月30日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は1万8000件減の20万2000件となり、昨年10月中旬以来の低水準となった。市場予想を下回り、労働市場が依然としてかなり逼迫していることを示唆した。
また、12月の米ADP雇用報告によると、民間部門雇用者数は16万4000人増加した。8月以来の大幅増となり、労働市場の持続的な力強さが引き続き経済を支える可能性を示唆した。
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが上昇し、指標となる10年債利回りが4%近辺で推移した。経済指標で労働市場がなお力強いことが確認され、連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測がやや後退している。
CMEフェドウオッチによると、FRBが政策金利を現行水準に維持する確率は35%と、1週間前の13%から上昇。3月の会合で0.25%ポイントの利下げが実施される確率は60%であることが織り込まれている。
この日の経済指標では、労働省が発表した12月30日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)が1万8000件減の20万2000件と、昨年10月中旬以来の低水準。ロイターがまとめた市場予想(21万6000件)を下回り、労働市場がなお引き締まっていることが示された。
また、企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)発表の12月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数が16万4000人増加。増加幅はロイターがまとめた予想(11万5000人)を上回り、8月以来の大幅増となった。
バロー・ハンリー・グローバル・インベスターズのポートフォリオ・マネジャー、マシュー・ルース氏は「FRBが利下げを実施するに十分か、労働市場関連の経済指標から推し測ろうとする動きが出ている」と述べた。
<株式> 米国株式市場はダウ工業株30種が小幅に上昇して取引を終えた。金融株の上げや堅調な雇用データに支援された。
一方、テクノロジー株が中心のナスダック総合は年初から3営業日続落。昨年終盤の大幅上昇を受けて利食い売りが続いた。
2024年に利下げが開始されるとの観測が昨年終盤にかけて市場を押し上げたが、米連邦準備理事会(FRB)が3日公表した23年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は利下げ開始時期についてほとんど手掛かりを示さなかった。
堅調な雇用データを受け、利下げ開始が後ずれするとの見方が高まり、金融市場には4日も慎重ムードが漂った。米10年債利回りは4%近辺に上昇。株式市場ではグロース株から他のセクターにシフトする動きが見られた。
S&P総合500種の主要セクターでは金融などの上げが目立った。モルガン・スタンレーが投資判断を「オーバーウエート」に引き上げた保険大手オールステートが史上最高値を付け、セクターの指数を押し上げた。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、ドルの軟調に伴う割安感などを支えに買いが入り、反発した。
前日の清算値確定後、米連邦準備理事会(FRB)が公表した2023年12月12、13両日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、参加者らは政策金利が今回の利上げ局面の「ピーク近辺」にあるとの見解で一致。24年内の利下げは「適切」との意見が大半を占めていたことが明らかになった。これが利子の付かない資産である金への資金流入を促し、相場は早朝にかけて堅調に推移した。
しかし、4日朝に民間雇用サービス会社ADPが発表した23年12月の就業者数の伸びは市場予想を上回った。また、米労働省が発表した週間新規失業保険申請件数は3週ぶりに減少。労働市場の底堅さを示唆する両統計の結果を受け、相場は一時、前日清算値付近に押し下げられた。
その後は、米金利の上昇が重しとなる一方、ドルの軟調に伴う割安感を支えに買いがやや優勢となった。この先の金融政策決定に影響する重要指標として、市場は週末5日に発表される米雇用統計に注目している。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米石油製品在庫の予想外の急増が重しとなり、反落した。
米エネルギー情報局(EIA)が午前発表した昨年12月29日までの1週間の米石油在庫統計によると、原油在庫は前週比550万バレル減と、市場予想(ロイター拡大版調査)の370万バレル減を上回る取り崩しとなった。ただ、ガソリン在庫が1090万バレル増と急増。週間の積み増し幅は1993年5月以来約30年ぶりの大きさとなったほか、市場予想の20万バレルの取り崩しを大きく覆した。ディスティレート(留出油)在庫も1010万バレル増と、市場予想の60万バレル増を大幅に上回った。加えて、需要の指標となる供給に関する週報ではガソリンが前週比日量120万バレル減と、減少幅は2022年12月以来の大きさ。ディスティレートは日量270万バレルに落ち込み、1999年以来の低水準となった。市場参加者の間では、石油製品の弱い需要について、背景に年末年始の休暇シーズン後の落ち着きがあるとみる向きもあった。
これらの統計内容を受け、需給の緩みに対する警戒感が広がり、原油売りが加速。一時71ドル台まで下落した。ただ、中東情勢の緊迫化を背景とした石油供給混乱への懸念もくすぶっており、売り一巡後は下げ幅を縮小する展開となった。
ドル/円 NY午後4時 144.58/144.61
始値 144.25
高値 144.85
安値 144.07
ユーロ/ドル NY午後4時 1.0947/1.0951
始値 1.0946
高値 1.0965
安値 1.0934
米東部時間
30年債(指標銘柄) 16時42分 110*05.00 4.1531%
前営業日終値 111*30.00 4.0570%
10年債(指標銘柄) 16時41分 104*00.50 4.0025%
前営業日終値 104*26.00 3.9070%
5年債(指標銘柄) 16時41分 98*30.75 3.9817%
前営業日終値 99*11.50 3.8920%
2年債(指標銘柄) 16時41分 99*23.63 4.3887%
前営業日終値 99*27.88 4.3180%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 37440.34 +10.15 +0.03
前営業日終値 37430.19
ナスダック総合 14510.30 -81.91 -0.56
前営業日終値 14592.21
S&P総合500種 4688.68 -16.13 -0.34
前営業日終値 4704.81
COMEX金 2月限 2050.0 +7.2
前営業日終値 2042.8
COMEX銀 3月限 2318.7 +3.0
前営業日終値 2315.7
北海ブレント 3月限 77.59 ‐0.66
前営業日終値 78.25
米WTI先物 2月限 72.19 ‐0.51
前営業日終値 72.70
CRB商品指数 264.9981 ‐0.2567
前営業日終値 265.2548
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