- 2023/12/30 掲載
アングル:中国小売業、低価格戦略にシフト デフレ基調根付く懸念も
[北京 20日 ロイター] - 中国の小売企業は価格に敏感な消費者を獲得しようと低価格戦略にシフトしており、足元のデフレ基調が経済に根付いてしまうリスクも生じている。
値下げ、ディスカウント店の増殖、自社製品の廉価版導入といった現在の潮流は、利ざや圧縮、賃金と雇用の圧迫、消費意欲のさらなる減退という悪循環を招きかねない。そうなれば、ゼロコロナ政策解除後の景気回復が期待外れに終わった中国経済に、さらに逆風が強まりそうだ。日本の「失われた数十年」が引き合いに出されることも一段と増えた。
中国では所得の伸びが減速して消費低迷が常態化し、一部の産業は減収に見舞われている。ハンセン銀行のエコノミスト、ワン・ダン氏は「企業はシェアを維持して市場から閉め出されるのを避けようと、価格を引き下げている」とし、「間違いなく価格下落、あるいは低インフレ環境になっている」と指摘した。
財布のひもを締める消費者に合わせ、多くの小売企業が廉価商品を出している。
行き届いたサービスで知られる中国最大の高級火鍋チェーン、海底撈火鍋は9月末、低価格ブランドの店舗を2店オープンした。旗艦チェーンの70元よりずっと安い28元(3.92ドル)で牛肉料理を提供している。人件費節約のため、カフェテリアスタイルも採用した。
米ウォルマート系列の会員制スーパー、サムズクラブと、アリババの食品スーパー、盒馬鮮生(フレッシッポ)は過去5カ月間、価格戦争を繰り広げている。
上海のマーケティング代理店チャイナ・スキニーの創業者、マーク・タナー氏は、消費者の「バリュー」追求により、「ほぼ全てのカテゴリーで、長年にわたるトレードアップ(より高い商品に買い換える)流れが逆転しつつある」と説明。サプリメント、乳製品、スキンケア、化粧品など複数の製品で平均販売価格が下がっていると述べた。
政策当局者はインフレ率の上昇見通しを示しているが、今月発表されたデータを見ると、消費者物価は過去3年間で最も急スピードで下がり、工場渡し価格のデフレも深刻化している。
こうした環境下、中国では比較的新しい現象として、新種のディスカウント店が台頭し、大手の大幅値下げに拍車をかけている。
創業6年のスナック菓子チェーン、零食很忙はスーパーよりも安い菓子を販売しており、店舗数を現在の約4000から2025年には1万店に増やす計画だ。
これに対抗し、中国最大のスナック菓子ブランド、良品?子(ベストア)は11月、300商品について平均22%の値下げを実施した。
関連コンテンツ
PR
PR
PR