• 2023/12/29 掲載

アングル:債券は最後2カ月で大幅反発、3年連続のマイナスリターン回避へ

ロイター

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Harry Robertson

[ロンドン 28日 ロイター] - 債券価格は今年最後の2カ月で大きく持ち直した。主要中央銀行が近く利下げするとの観測が背景だ。これにより、債券リターンが3年連続でマイナスになるという異例の事態は回避された。

米10年国債利回りは11月に53ベーシスポイント(bp)、12月に50bpそれぞれ低下(価格は上昇)。この2カ月の低下幅は、米連邦準備理事会(FRB)が世界金融危機を受けて利下げに動いた2008年以降で最大を記録した。

政府債と社債を含むICE BofAグローバル・ブロード債券市場指数は過去2カ月で約7%上がり、1997年以降のLSEGのデータに基づくと、2カ月間としては過去最大になった。

10月に10年余りぶりの急激な借り入れコスト上昇に直面していた住宅市場や、イタリアなど債務の多い政府にとっては一安心できる展開がやってきた形だ。

DWSの欧州債券責任者オリバー・アイヒマン氏は「今の債券の強さには驚いた」を語った。

<ハト派への転換>

12月に入って主要中銀の政策姿勢は突然転換し、市場で利下げ観測が高まった。これは11月に米国と欧州の物価上昇率が予想よりもずっと下振れしたことに伴う動きだ。

象徴的なのは有力なタカ派と目されたFRBのウォラー理事と欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事がそろって12月に口調を和らげたこと。シュナーベル氏は「目覚ましいほど」インフレが減速したと認めた。

12月の連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBは利上げが打ち止めになったことを示し、パウエル議長はFRBの想定よりも市場が来年の利下げ幅をずっと大きく見込んでいるにもかかわらず、そうした市場の観測を明確には否定しなかった。

FOMCメンバーの大勢見通しでは、来年の利下げは25bpが3回。一方市場は合計で150bpの利下げを織り込んでいる。 

カンドリアムの債券ポートフォリオマネジャー、ジェイミー・ニベン氏はこの落差について「恐らく市場に見えていなくて、FRBが目にしているものとは一体何かという疑問が残る」と指摘した。

いずれにしても、来年の利下げ観測の広がりとともに、債券市場においてリスク性の高い領域の魅力が増してきている。

イタリア10年国債利回りは12月に75bp強下がりそうで、そうなれば月間の低下幅は2013年のユーロ圏債務危機以降では最大だ。

一方ジャンク債と政府債の利回りスプレッドは、米国と欧州の双方で昨年第2・四半期以来の水準まで縮小した。

10月まで主要債券指数はマイナスに沈んでいた。米国の経済成長と物価上昇率がエコノミストの予想以上に強く、政策金利が「より高く、高金利がより長期化する」との懸念が高まったからだ。

しかしICE BofAブロード債券市場指数は年間で約5%上昇する態勢になっている。

もっともDWSのアイヒマン氏は、足元の債券価格上昇は行き過ぎだと指摘。新年になれば中銀当局者からのけん制による揺り戻しが予想されるほか、実際の利下げ回数は市場の期待より少なくなるとみている。

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