- 2023/12/28 掲載
アングル:今年終盤盛り返した米債券、利下げ経路期待通りなら一段と強気地合いも
[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米債券市場は今年終盤になって急速に持ち直した。10月には米国債利回りが2007年以来の高水準に跳ね上がったものの、その後米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が高まり、利回りが低下に転じたためだ。
昨年まで米債券は2年連続で年間リターンがマイナスだったが、今年はプラスに浮上する見通し。
一部の投資家は、来年FRBが市場の予想に沿う形で利下げする限り、債券市場の展望はさらに明るくなるとみている。
BofAグローバル・リサーチの最新のファンドマネジャー調査でも、投資家による債券のオーバーウエート比率が09年以降最大になったことが分かった。
ただこの先に利回り低下が一本調子で進んでいくとの見方は少ない。10月以降で米国債利回りの低下幅は100ベーシスポイント(bp)余りに達しており、既にFRBの利下げが織り込まれた結果、もし利下げペースが遅くなったり、利下げ幅が期待に届かなかったりすれば、反動に襲われかねないとの声も聞かれた。
現時点で短期金利先物が見込む来年の合計利下げ幅は150bpで、FRBが想定する75bpの2倍。先週の10年国債利回りは3.88%と、7月以降の最低になった。
多くの市場関係者は、今年の利回りを押し上げた米財政運営を巡る不安が再燃しないかどうかにも注目している。
RBCグローバル・アセット・マネジメントのブルーベイ債券チームでシニア・ポートフォリオマネジャーを勤めるブランドン・スウェンセン氏は「(値動きは)曲折をたどる可能性がある」と述べた。
<リターンはプラスに>
ブルームバーグUSアグリゲート債券指数によると、米債券の年初来リターンは先週時点でプラス4.8%。昨年はマイナス13%だった。
バンガードは今月のリポートに「債券は復活した」と記し、向こう10年のリターンを4.8─5.8%と予想。昨年の利上げサイクル開始前に想定していた1.5─2.5%から大きく上振れた。
運用資産3000億ドルの「バンガード・トータル債券市場指数ファンド」は、昨年のリターンがマイナス13.16%に沈んだが、先週時点ではプラス5.28%を確保している。パシフィック・インベストメント・マネジング・カンパニー(PIMCO)の主力の「インカム・ファンド」(1320億ドル)の年初来リターンも先週時点がプラス8.92%と、昨年のマイナス7.81%から切り返した。
トゥエンティフォー・アセット・マネジメントのパートナー兼ポートフォリオマネジャー、エオイン・ウォルシュ氏は、今年の利回り上昇によって米債券はインカム収入とキャピタルゲインの両方をもたらすことができると強調した。
同氏は来年末の10年国債利回りを3.5─3.75%と見込んでいる。
一方、足元の利回り低下に伴う金融環境の緩和で、経済成長が再び加速したり、最悪ならインフレが再燃したりしてFRBの利下げが遅れるのではないかとの懸念もある。
ゴールドマン・サックスの金融環境指数は10月終盤以降に136bpも下落し、今月19日の段階で昨年8月以来の水準に下がった。
ノムラの米国エコノミスト、ジェレミー・シュワルツ氏は「市場が利下げを織り込めば織り込むほど、恐らくFRBがそれを実行すべきという切迫度は弱まる。なぜなら市場がFRBのために緩和を進めるからだ」と指摘した。
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