- 2023/12/20 掲載
アングル:中国で不良債権ABS発行が急拡大、銀行個人ローンで不履行増加
格付け会社のデータによると、住宅ローンやクレジットカードなどに関連した不良債権を裏付けとする証券の今年の発行額は前年比約40%増となり、過去最高を記録する見込み。
ロイターが確認した目論見書によると、今週だけでも中国光大銀行や江蘇銀行など6行が、不良債権に基づく15億元(2億1049万ドル)相当の資産担保証券(ABS)の発行を計画している。主な買い手はファンドマネジャー、ウェルスマネジメント会社、不良債権専門の投資家、一部ヘッジファンドなどだ。
S&Pグローバル(中国)レーティングスのストラクチャードファイナンス格付け担当責任者、周侃氏は「証券化は中国の銀行が不良債権を処理するための常套手段となっている。効率的で柔軟性があり、規制当局の承認も比較的早い」と指摘。景気低迷時には不良資産が増加するとして、来年はさらに市場が拡大すると予想した。
裁判所のデータによると、中国当局は住宅ローンからビジネスローンまで滞納した857万人をブラックリストに載せている。この数字は2020年初頭の570万人から50%増加、コロナ禍の影響を浮き彫りにしている。
格付け会社・中誠信国際信用評級(CCXI)の傘下部門のデータによると、中国の銀行は17日時点で、不良債権を裏付けとする証券類を今年に入ってから425億元(59億6000万ドル)発行。22年通年と比べて37%増加し、16年にデータを取り始めてから最高となっている。
さらに1ー9月には、600億元相当の不良債権がクレジット資産として公的市場で取引されており、昨年全体と比べ61%増加したことが、銀行規制当局に属する機関のデータで示されている。
銀行規制当局によると、中国の銀行の不良債権残高は9月末時点で3兆2000億元に達し、19年末時点の2兆4000億元から3分の1増えている。
<利回りは魅力的>
当局はシステミックな金融リスクを回避するため、銀行に不良資産の処理を加速するよう促している。
S&Pの周氏は「不良債権を証券化して投資家に売却することは、銀行の帳簿上の不良債権を減らし、休眠資産の活性化に役立つ」と述べた。
償却や不良債権処理のため設立された管理会社への売却といった他の処理方法と比べ、ABS発行は不良債権化した個人ローンで多く利用されている。
中国の低金利環境では、不良債権を裏付けとするシニアABSの利回りは2─3.5%と魅力的だが、経済状況が悪化した場合に回収率が低下するリスクがあると周氏は指摘する。
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