- 2023/12/20 掲載
インタビュー:資産運用業強化へ2030年までに5000億円投資=三井住友信託銀社長
[東京 20日 ロイター] - 三井住友信託銀行の大山一也社長は、資産運用ビジネス強化へ2030年までに5000億円を投じる方針を明らかにした。政府も積極的に後押ししている新興の資産運用者(EMP)への投資や、特定領域に強みを持つ海外企業の買収・資本提携などに充当し、プライベートアセットの個人向けの商品力の強化を図る。
同社は脱炭素やインフラなど社会課題解決のための投資枠5000億円をすでに打ち出しており、大山社長はロイターとのインタビューで、「資金を循環させる役割としてのインパクトエクイティ投資で5000億円、我々の機能を強める資産運用戦略投資5000億円、併せて1兆円の投資を2030年までに行っていく」と語った。
同社は政策保有株をゼロにする方針を示しており、そこから生まれる資金をこうした投資に充てる。
買収・合併(M&A)の対象は「特徴のあるブティック的なアセットマネジメント会社」と説明。「例えば、エンゲージメントに強い会社やAI(人工知能)をモデルにしているアセットマネジメント会社など」の100%取得、一部出資も含めて検討していくという。
同社はこれまで米大手投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントと資産運用などの業務で提携。今年7月にはサステナビリティ分野に強みを持つ英資産運用会社オズモシス社と資本業務提携を結ぶなどし、取り扱うプライベートアセットの幅を広げてきた。
流動性は劣るもののリターンが高いプライベートアセットについては、機関投資家中心の投資から小口化し、個人投資家へと「民主化」したい考え。来年、個人投資家向けに元本補てん付きの新商品を発売、将来的には実勢配当型の信託商品を個人向けに販売したいとしている。22年度に6.2兆円だったプライベートアセットの運用資産残高を30年度には24兆円に拡大。関連収益も22年度の78億円を30年度には450億円に引き上げる。
大山社長は「日本はデフレだったため、貯蓄から投資が進まない。インフレの時代に預金に置いていたら目減りするというのを実感すると、資産運用や投資をやらないといけないとなってくる」と述べ、米国に30年遅れた投資の流れが起きることに期待を示した。
*インタビューは12日に実施しました。
(清水律子、山崎牧子 編集:久保信博)
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