- 2023/12/14 掲載
アングル:中国株投資家、来年はディフェンシブ銘柄を物色か
[香港 12日 ロイター] - 中国市場が3年連続で世界市場をアンダーパフォームする中、中国株投資家は来年、グローバルに展開する多国籍企業や景気後退の影響を受けにくいディフェンシブセクターを物色するとみられる。
健康、医療革新、電気自動車(EV)供給網や先進製造業の輸出企業といったディフェンシブセクター、電子商取引のPDDホールディングスなどの多国籍企業が特に注目されるだろう。
上海重陽投資管理の王慶会長は「景気回復が予想より遅れているため、マクロサイクルの影響を受けやすいエクスポージャーを引き下げた」と指摘。代わりに、ディフェンシブな高配当株、世界的な競争力を持つ医療イノベーターや中国政府が支援する高度製造業の株を買っていると述べた。
中国経済が不動産危機と新型コロナウイルス禍からの回復の遅れで低迷する中、中国の優良株CSI300指数は5年ぶり安値に沈み、年初来で12%下落。一方で世界株は年初来15%上昇している。
香港市場のハンセン指数のパフォーマンスはさらに悪く、年初から18%余り下落している。
ここ10カ月の中国株のパフォーマンスは年初の楽観論を打ち砕くもので、今年後半には4カ月連続で海外資金が流出し、株式相互接続(ストックコネクト)制度を通じて中国株から1380億元(190億ドル)が流出した。
HSBCアセットマネジメントの中国・アジア専門戦略責任者は「投資家は中国の次の成長の原動力が何なのか考えあぐねている」と述べた。
ゴールドマンのアナリストは、2024年末時点のCSI300の目標値を4200とし、11日終値から23%上昇すると予想。モルガン・スタンレーは、24年末時点のCSI300を3850と予想し、ハンセン指数は11日終値から14%上昇して1万8500に達するとみている。
S&P500については、ゴールドマンは24年末時点で4700と現行水準から2%弱上昇すると予想。モルガン・スタンレーは4500まで下落すると見込んでいる。
<輸出企業と多国籍企業>
かつて中国経済の4分の1を占めていた不動産セクターは、相次ぐデベロッパーの倒産と信頼性の危機に揺れている。
ムーディーズは先週、中期的な経済成長率の低下や不動産部門の縮小を理由に、中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
中国最大の民間不動産デベロッパーだったが、いまは債務返済に追われる碧桂園(カントリー・ガーデン)の株価は年初来73%下落。香港上場の本土系デベロッパー株は44%下落している。
ニューヨークのヘッジファンド、インダス・キャピタル・パートナーズは、中国の内需へのエクスポージャーから手を引いている投資家の一人だ。
同社パートナーのジョン・ピンケル氏は、一部の輸出企業や多国籍企業、そして中国政府と連携している、あるいは政府がさほど懸念していない安価な国有企業に価値があると指摘。具体的な企業名は挙げなかった。
例えば、米国を拠点とするショッピングアプリ「Temu」を所有するPDDの株価は今年75%上昇。ディスカウントストアのミニソもグローバルに展開しており、株価は今年80%上昇している。
世界的な資産運用会社インベスコは、アジアポートフォリオで中国資産をオーバーウエートしている。ストラテジストのデビッド・チャオ氏は、国内で成長が鈍化する一方で、海外で成功している日本企業の例を挙げ、グローバル展開の魅力を強調した。
一方、ティー・ロウ・プライスのポートフォリオマネジャー、ウェンリー・チェン氏は、求人サービス運営の看准(カンジュン)やモール運営の華潤万象生活のような、優良だが割安に取引されている景気敏感株を買うには理想的なタイミングだと指摘。
ジェフリーズは、元高と割安なバリュエーションから、中国に対して「戦術的ポジティブ」に転じたと表明。LSEGのデータによると、セルサイドのアナリストは、中国企業は24年に過去7年間で最も収益が拡大すると考えている。
しかし、BofAセキュリティーズが11月に実施したアジアファンドマネジャー265人を対象とした調査では、大半のファンドマネジャーは改善を待つか、他のファンドに目を向けており、中国へのエクスポージャーを増やすことを急がないことを示唆している。
PR
PR
PR