• 2023/12/14 掲載

NY市場サマリー(13日)ドルが対円・ユーロで急落、利回り低下 ダウ過去最高値

ロイター

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<為替> ドルが円やユーロに対し急落した。米連邦準備理事会(FRB)が13日までに開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、今回の利上げサイクルが終了し、来年に利下げに着手する可能性を示唆したことに反応した。

FRBは大方の予想通り、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置いた。据え置きは3会合連続。同時に発表した最新の金利・経済見通しでは、19人の政策担当者のうち17人が2024年末には政策金利が現在よりも低下するとの予想を示した。

コーペイのチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「FRBは決定的にハト派に転じ、政策緩和を期待する市場の強気派を刺激した」と述べた。

FOMC後、米金利先物市場ではFRBが来年3月に利下げを開始する確率が77%に上昇した。5月までの利下げ確率も94%となった。

終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.83%安の102.89と、11月30日以来の安値を付けた。

ユーロ/ドルは0.80%高の1.0882ドル。一時、今月1日以来の高値となる1.08970ドルを付けた。また、1日としては11月14日以来最大の伸びを記録する勢い。

ドル/円は1.67%安の143.03円と、8日以来の安値となった。

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、見通しの不透明さを指摘し、政策当局者が利下げを視野に入れる中でも、現時点では利上げを明確に否定することはできないと表明。「政策金利が引き締めサイクルのピークに達したか、その近くにあると考えている」としながらも、経済の予測不可能な性質を踏まえると、FRB当局者は「一段の利上げが適切になる可能性は低いと考えると同時に、その可能性を排除したくない」と述べた。

アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「パウエル議長の一時停止は来年5月までしか続かない可能性がある。重要な問題は、FRBが利下げできるから利下げするのか、それとも利下げしなければならないから利下げするのかだ」と述べた。

FOMCをこなしたことで、市場の注目は14日に開催される欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(英中銀)などの金融政策決定会合にシフトしている。日銀は18─19日に金融政策決定会合を開く。

暗号資産(仮想通貨)ではビットコインが2.87%高の4万2642ドル。

<債券> 米債利回りが低下した。FRBは予想通り政策金利を据え置いたものの、新たな金利・経済見通しで引き締め政策の終了と来年の利下げを示唆したことを受けた。

指標10年債利回りは一時8月以来の低水準を付けた。終盤は17.6ベーシスポイント(bp)低下の4.02%。

2年債利回りは一時6月上旬以来の低水準に低下。終盤は25.9bp低下の4.54%だった。

5年債利回りも同様に一時7月中旬以来の低水準となり、終盤は24.1bp低下の3.897%だった。

FRBはFOMC声明で、インフレは過去1年間で緩和したとの認識を示し、追加利上げが必要かどうか経済情勢を見守ると表明。追加利上げは必要ない可能性があることが示唆された。

金利・経済見通しでは、19人の政策担当者のうち17人が2024年末には政策金利が現在よりも低下するとの予想を示した。中央値では、FF金利誘導目標は現在の5.25─5.50%から0.75%ポイント低下するとの予想が示された。

アライアンス・バーンスタインのシニアエコノミスト、エリック・ウィノグラッド氏は「FOMCは追加利上げの選択肢を残しつつも、重大なサプライズがない限り、利上げサイクルは終了という非常に明確なメッセージを発した。利下げリスクは今後数カ月間の利上げリスクよりも大きい」と指摘。「市場の反応の大きさは誇張されていると感じるが、方向性としては正しい。FRBは現在のサイクルで初めて、妥当な予測期間における利下げに向けた道を開いた。これは重要なことだ」と述べた。

LSEGのフェドウオッチによると、FOMCを受け、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場が折り込む、来年3月の利下げ確率が70%超に上昇した。また来年100bp以上の利下げが織り込まれた。

2・10年債の利回り格差はマイナス44.90bpとなった。

<株式> ダウ工業株30種が昨年1月以来初めて終値で過去最高値を更新した。S&P総合500種とナスダック総合も大幅続伸して引けた。FRBが利上げ終了を示唆し、来年に金利が低下し始めるという見通しを示したことが背景。

主要3指数は横ばいで推移していたが、このニュースを受けて値を上げた。

パウエルFRB議長が会見で、追加利上げの可能性が低いことを示唆し、政策当局者は金利を過度に長期間にわたり高水準に維持するという過ちを犯さないことに非常に焦点を当てていると述べ、株価は急速に上げ幅を拡大した。

幅広い銘柄に買いが入り、S&P主要セクターは全てが上昇。金利動向に敏感な不動産と公益事業が上げを主導した。 小型株で構成するラッセル2000指数も上昇した。

ダウは最高値を更新したことで、昨年9月に直近高値から20%超下落して以降、強気相場が続いていたことが確認された。

LSEGのフェドウオッチによると、声明を受け、米金利先物市場が織り込む来年5月の利下げ確率は発表前の80%から90%に上昇した。

この日発表された11月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比0.9%上昇と、10月の1.2%上昇から伸びが鈍化した。

個別銘柄では製薬大手ファイザーが10年ぶりの安値に下落。24年の売上高見通しが市場予想を下回った。

<金先物> FRBの金融政策決定を前に持ち高調整の買い戻しが台頭し、5営業日ぶりに反発した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比4.10ドル(0.21%)高の1オンス=1997.30ドル。

<米原油先物> 需給引き締まり観測などを背景に買い戻され、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物は前日清算値(終値に相当)比0.86ドル(1.25%)高の1バレル=69.47ドルだった。2月物は0.87ドル高の69.72ドル。

米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計では原油在庫が前週比430万バレル減と、市場予想の70万バレル減を大幅に上回る取り崩し幅となった。これを受けて需給の引き締まり観測が広がり、買いが優勢となった。ガソリン 在庫は40万バレル増(予想190万バレル増)、ディスティレート(留出油)は150万バレル増(同60万バレル増)だった。

ドル/円 NY終値 142.88/142.89

始値 145.61

高値 145.73

安値 142.65

ユーロ/ドル NY終値 1.0873/1.0877

始値 1.0783

高値 1.0896

安値 1.0780

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 109*21.00 4.1812%

前営業日終値 107*15.00 4.3040%

10年債(指標銘柄) 17時05分 103*27.50 4.0239%

前営業日終値 102*11.50 4.2060%

5年債(指標銘柄) 17時05分 101*25.00 3.9755%

前営業日終値 100*21.00 4.2270%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*26.25 4.4328%

前営業日終値 100*08.50 4.7310%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 37090.24 +512.30 +1.40

前営業日終値 36577.94

ナスダック総合 14733.96 +200.57 +1.38

前営業日終値 14533.40

S&P総合500種 4707.09 +63.39 +1.37

前営業日終値 4643.70

COMEX金 2月限 1997.3 +4.1

前営業日終値 1993.2

COMEX銀 3月限 2292.1 ‐9.5

前営業日終値 2301.6

北海ブレント 2月限 74.26 +1.02

前営業日終値 73.24

米WTI先物 1月限 69.47 +0.86

前営業日終値 68.61

CRB商品指数 259.1126 +1.0209

前営業日終値 258.0917

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