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- 2016/07/12 掲載
「ダイエットが続いてる!」 ソニーの三日坊主防止アプリ「みんチャレ」の戦略(2/2)
ユーザーの生の声が企業に届く
──「公式チャレンジ」を開設することの企業側のメリットは何でしょうか。長坂氏:ユーザーに自社製品やサービスの使用を習慣化してもらいやすいということがあります。実際、「公式チャレンジ」は、ほかのチャレンジより「これでやろう」とはっきりフレーミングされるせいか、達成率が高いんですよ。
もう1つは、ユーザーと直接コミュニケーションを図れることによって、"気づき"や"洞察"などのインサイトを得られることだと思います。これまでユーザーの声を直接聞いたり、直接反応したりというのはそれほどなかったので、参加企業も「会話そのものがおもしろい」という声が寄せられています。
さらに最も重要なポイントとして、ユーザーとの間でエンゲージメントを向上できる点があると思います。「公式チャレンジ」で製品・サービスを使い続けてくれるユーザーは、長期的な顧客の有力候補であり、よい意味でのオピニオンリーダーになってくれると思います。
──連携の魅力がある一方で、企業としては自分たちのサイト・アプリの中だけで囲い込みたいという思いもあるのでは?
長坂氏:そこは両立できると思っています。そういったサイトはフルオープンで、ユーザーみんなに意見や声が開示されますが、われわれはマイクロSNS。同じ志を持つ5人の仲間との密な会話なので、使い方が異なります。
フルオープンのサイトでは多くの人に見てもらえる可能性がありますが、リアクションやコメントをもらえるのは一部のユーザーに偏りがちです。一方マイクロSNSなら公開範囲が狭い分、密度の濃い反応を得やすいので、ユーザーの接触態度が自ずと違ってくるのです。
──では、普通のチャレンジではなく「公式チャレンジ」に参加するユーザーのメリットは何でしょう。
長坂氏:先ほどの「フレーミングがはっきりすることで達成率が上がる」というのが1つですが、同好の士により巡り会いやすくなることも大きいと思います。現状はユーザーに特別なインセンティブは用意していません。しかし、将来的にはそういう仕組みも考えたいですね。
──今後有料アプリとする計画はありますか?
長坂氏:将来的にはユーザーからもプレミアム料金という形で、付加機能にお金を払っていただくことも検討しています。たとえば「過去の履歴をもう少しきれいにみたい」であるとか「参加できるチームの上限を増やしてほしい」とかいった要望をいただいているので、そういった機能は有料、ということを考えています。
自ら「お金を払いたい」とおっしゃるユーザーもいるんですよ。それによって自分の本気度を示すとともに、お金を払っているメンバー同士でチームを組みたい、と。
──それほど習慣化に対して真剣なユーザーが存在するんですね。
ほかのSNSへ流れていく心配は?
──ユーザー分析などはどうされていますか。長坂氏:Googleアナリティクスを活用しています。「みんチャレ」では個人情報は扱わないので傾向分析になりますが、バージョンアップ開発のためにも必要なので、どう使われているかはシビアに分析しています。ユーザーに直接ヒアリングすることもあります。
──どうやってユーザーにコンタクトをとったんでしょうか?
長坂氏:たとえば以前、ユーザーとやりとりしていたときに「オフ会を開催した」という話が出たので、「よかったら参加させてください」といって、ユーザー5名、開発者5名で会いに行きました。そういう場で、ユーザーに使われていない機能に気づいたり、改善のヒントをもらうことも多いですね。
──実際にユーザーの声を取り入れた機能としては、どんな機能がありますか?
長坂氏:「みんチャレ」は1日の区切りが午前4時なんです。今日が15日だとすると、16日の午前3時はまだ「15日」で、16日の午前4時に「16日」になる、ということですね。夜型のユーザーやチャレンジ内容によっては、午前0時だと報告を送りにくいからなんですが、それでは1日の区切りがわかりにくい。そこでチャットの画面に区切り線を入れてほしいという要望をもらって実現しました。また、同一カテゴリ内に1人のユーザーが開設できるチャレンジは2つまでとしていたんですが、それでは少なすぎるという声をもらって上限を撤廃しました。
──中心ユーザー層は何歳ぐらいなのでしょう。
長坂氏:女性は20代が一番多くて、次に10代、30代です。男性は20代、30代が同じぐらい多くて、その次に10代です。男女比は、女性の方が少し多いですね。
──変な話、「みんチャレ」で出会ったメンバーがほかのSNSへ流れて、そこでやりとりするということはないんでしょうか。
長坂氏:それは当初懸念していたより起こってないですね。「みんチャレ」は何かを習慣化しようという約束ごとで集まるところで、チャレンジしたことを報告することに最適化されており、その履歴もずっと残るので「あとはLINEでやりましょう」ということにはあまりならないようです。習慣化アプリもいろいろありますが、5人1組でゴールを目指すというモデルは他には見当たらないので、きっちり差別化できているのではないでしょうか。
「何かを習慣化したいなら『みんチャレ』だ」と言われる次元に
──今後の計画を教えてください。長坂氏:成功率の高いチームの行動履歴をさらに詳しく分析し、それをアプリに反映することで、もっともっと達成率を上げていきたいと思っています。また、ユーザーが急激に増えたために、以前よりチャレンジテーマが探しにくくなりました。ユーザーからも「検索機能をつけてほしい」などの要望が出てきたので、そこは課題だと思っています。
──事業化の目途としては?
長坂氏:「次の1年でユーザー倍増」というような目標はありますが、あまり事業化を急ぐつもりはありません。ユーザーが増え、そこでの達成率が話題になることで「みんチャレ」がブランド化すれば、その先の展開は多彩な方向があるかなと思っています。我々にとっては、ユーザーボリュームとユーザーの質が価値の源泉であり、優先事項なので、じっくりとよい下地作りを進めていきたいと思っています。
──最終的に目指すゴールを教えてください。
長坂氏:「何か習慣化したい? それなら『みんチャレ』だ」と、新しい習慣を獲得するのに必須と思われるアプリに成長できればいいですね。習慣というのはグローバルに通用するテーマでもあるので、その方向でも業容拡大を目指していきたいと思っています。
──本日はありがとうございました。
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