- 2012/11/15 掲載
ラック西本逸郎氏xヤマハ鼎談:スマートフォン時代の無線ネットワーク構築術
今日のネットワーク管理に見られるトレンドと求められる方向性
とはいえ、守るべきものはきっちり守らなければなりません。ですから、ネットワーク管理にも「選択と集中」の考え方が必要になってきたのです。なんでもかんでも防護するのではなく、中核的な部分はしっかり守って、それ以外は少し管理の手綱を緩め、スマートフォンやタブレット向けに無線LANを提供するといった方法が現実的なのだと感じています。
平野氏:無線LANは本当に必要になってきましたね。弊社は主に中堅中小企業のお客さまを対象に、ネットワーク活用支援を行ってきたのですが、従来は有線LANだけを考えていれば事足りていました。これまではPCが中心の世界で、無線LANは敷設の難しさやセキュリティの問題から敬遠されていたのかもしれません。
それがスマートフォンやタブレットが出てくることによって、今までPCとは疎遠だった方々、たとえば経営者なども積極的に利用し始めており、おのずと企業のネットワーク管理のあり方は変化しています。こうした機器を利用しようとすると、きちんと環境を整えていかなければならないためです。
瀬尾氏:タッチ機能を強化し、タブレットとしての利用が期待されるWindows 8の登場も大きいです。企業のPC環境の主流はやはりWindowsでしょうから、このOSの持っているモバイル機能をどう生かすかは、これからいろいろ考えていく必要があると思います。
また、トラフィックの増大に合わせて、通信事業者も回線を増強しており、広帯域の回線が安く手に入るようになってきました。より性能のいい、コストバランスも優れたネットワーク製品も求められていると思います。
重要なのは「可視化」と「直感的に理解できる」こと
平野氏:一時、ノートPCを持ち出し禁止にするという傾向がありましたが、実用性の視点から徐々に見直しの動きが広がりました。スマートフォンやタブレットとなると持ち出さなければ意味がありません。
持ち出してもきちんと使える管理に変えていくことが重要になってきますが、「攻めのブレーキ」という点では、ネットワークを可視化することと直感的に理解できるということが大きなポイントだと考えています。何かとリソース不足な中堅中小企業でも、可視化は無線ネットワーク管理の核心ではないかと思います。
しかし、実はそれが隣の会社のものだったりする可能性もありますから、ことはそう簡単ではありません。話題のPCの遠隔操作事件も、最初に特定されたIPアドレスはモバイルWi-Fiルーターだったとの報道がありました。当初、それが乗っ取られていた可能性も私は推測しました。
瀬尾氏:中堅中小企業での利用となると、ただ見えるだけではなくて、リモートで一括管理できる機能も必須だと思います。
お客さまとお話ししていてよく耳にするのが、地方にある支店・営業所拠点でトラブルが発生した際にフォローがしきれないということです。問題が発生したけれど原因がよくわからない。業を煮やしていってみたら、LANケーブルがループしていた、とか、電源が抜けていた、とか、単純なアクシデントであることも少なくない。そこを少ないリソースでカバーできるようにするのも、これからの企業内ネットワークに求められるものかなと思います。
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