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- 2008/08/12 掲載
【インタビュー】 ビジネスプロセス改善のための「見える化」
東京工業大学・大学院社会理工学研究科 教授 飯島淳一氏
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ビジネスプロセスの成熟度を測るモデルとしてはOMG(Object Management Group)のBPMM(Business Process Maturity Model)がよく知られるが、他にもビジネスプロセス的な考え方がどのくらい浸透しているかという「プロセス指向性」を測るためのBPO(Business Process Orientation)モデルがある。代表的なBPO研究に、「プロセス管理と計測」、「プロセスジョブ」、「プロセス観」の3つの次元でビジネスプロセス指向性を計測し、その企業における機能間のコンフリクト、部門間の連結性、従業員の団結心、ビジネス業績との関係を分析しているものがある。このBPOモデルをさらに拡張したものが、飯島氏らが提唱するPOE(Process Oriented Enterprise)モデルだ。
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McCormackらのBPOモデル
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「POEモデルでは、サプライヤーとカスタマーという上流・下流との関係を付け加え、企業の中ではPDCAの各サイクルについてのプロセス指向度を考えます。そして、企業を文化・制度、組織構造、オペレーションの3つの要素に分け、プロセス指向性の強い企業とはどのようなものかを特徴づけようとしています。」(飯島氏)
そして、このプロセス指向の第一歩となるのが「見える化」だという。
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POE(Process Oriented Enterprise) モデル
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飯島氏は、「情報社会では『意思決定』をするもの自らが、必要な情報を処理することが原則」と指摘する。
「それは、MIS(Management Information Systems:経営情報システム)からDSS(Decision Support System:意思決定支援システム)への流れを見ても明らかです。1960年代に登場したMISは、意思決定者が情報処理者にあらかじめ必要な情報を依頼し、それに従って情報処理者が定期的に報告を行うというものでした。しかし、このMISは失敗に終わったと言われています。その大きな理由とされているのが、意思決定にどんな情報が必要なのかを事前に意思決定者自身が分かっていなかったことです。そこで、意思決定者が自ら必要な情報を求めて情報処理を行い、情報を獲得して意思決定に役立てるDSSが生まれたのです。」
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MISからDSSへ
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意思決定者が自ら情報を処理し、よりよい意思決定を行う上では、当然「見える化」が不可欠となる。基本的な「見える化」の仕組みとしては、まず、ビジネスでの活動を鏡像として現実世界を捉えられるように情報システムにうまくマッピングする。すると、それを見ることによってビジネスが今どうなっているか分かり、その情報を使って意思決定を行うことができる。このサイクルをより速く、うまくまわすことによって、よりよい意思決定が可能となり、最終的には企業の業績向上につながるというわけだ。
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見える化のしくみ
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