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10月30日に2024年7~9月期の決算発表(予定)を控えるメタ・プラットフォームズは、堅調な業績が続いている。2024年4~6月期の純利益は前年同期比73%増、売上は4四半期連続の20%以上の成長で、株価も年初来50%以上で伸長。生成AIなどのAI投資が、主力事業である広告の売上を押し上げていると見られる。まだ生成AIで顕著な儲けを出せていないグーグルやマイクロソフトといった競合が多い中、メタは「生成AIは儲かる」を実証した形だが、具体的にどのような方法でマネタイズしているのか。ザッカーバーグ氏が決算発表で語った、生成AIを中心とする法人顧客向けサービスの「AI収益化3本柱」を中心に解説する。
AI効果で「純利益73%増」
メタの2024年4~6月期の純利益は前年同期比73%増の134億6,500万ドル(冒頭の図1)で、1株当たり純利益(EPS)も前年同期比73%増の5.16ドルと大幅増益となり、市場予想の4.73ドルを上回った。この決算で注目を浴びたのが、売上および収益に現れた「AI効果」だ。
英マーケティング調査企業エンダーズ・アナリシスのアナリストであるジェイミー・マクエワン氏は、「メタは、(チャットボットのMeta AIなど)生成AI分野ではこの先数年、儲けを出せないと認めているが、広告ターゲティングと、おすすめコンテンツ表示に用いられる『コアAI』で黒字化を達成している」と
指摘。
このAI効果における中心が、ザッカーバーグCEOが4~6月期
決算発表会で挙げた「AI収益化3本柱」。3本柱はいずれも法人顧客向けのサービスであり、メタにおけるAI収益化の大部分が法人需要にかかっていることを示唆している。
この3本柱を基にしたAI収益化に関する考察の前に、法人向けサービスでマネタイズするのに欠かせない一般ユーザー向けのAIサービスについて触れておこう。
個人向け:検索で「Meta AI」を強制
ザッカーバーグCEOは4~6月期を振り返り、「好調な四半期だった。弊社の(生成AIの)チャットボットMeta AIは、年末までに世界で最も利用されているAIアシスタントになる」と自信を示した。
米テックニュースサイトのジ・インフォメーションは複数のメタ社員から得た情報として、「8月上旬時点でMeta AIはデイリーアクティブユーザー数が4000万、月間アクティブユーザー数が4億に達した」と
報じた。
メタのFacebook、Instagram、WhatsAppすべてのデイリーアクティブユーザー数が4~6月期に前年同期比7%増の32億7000万に
成長したことと比較すると、Meta AIはまだまだ規模が小さい。しかし、広告ターゲティングとおすすめコンテンツ表示に用いられるコアAIが、ユーザーの検索による生成AI利用との相乗効果を発揮することで、さらなるMeta AIユーザー数の増加や業績の改善に期待が持てる。
メタは、Meta AIを自社プラットフォームの検索に既定で
組み込むという興味深い戦略を採用している。すなわち、ユーザーたちはFacebook、Instagram、WhatsAppで検索を行う際に、Meta AIを回避する手段がない。「Meta AIが年末までに世界で最も利用されているAIアシスタントになる」というザッカーバーグCEOの発言は、こうした「Meta AIの強制」に裏付けられているのである。
このようにメタは、ユーザーが日常的に利用する「主役」の検索にMeta AIを組み込むことで、より多くのユーザーデータを収集できる。その一方で、ユーザーのネット上における行動追跡で得られたデータを、広告配信やおすすめ表示に使う「裏方」のコアAIでクリック率を上げて業績を伸ばしている。
こうした一般ユーザー向けのAIに加えて、メタは法人顧客にもっとFacebook、Instagram、WhatsAppを使ってもらう3本柱の戦略を打ち出している。それは、どのようなものなのか。
【次ページ】法人向け:「AI収益化3本柱」とは
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