- 2007/08/03 掲載
小型化と高機能化、セキュリティをキーワードに各業種分野に特化したユニークな製品を提供
カシオのシステム事業。その現在を見る
その業務に最適化されたソリューションを提供
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カシオ計算機 国内営業統轄部 システム企画部 次長 藁谷幸司氏 |
●プリンタ事業
プリンタ事業の分野では、カラーページプリンタに特化したソリューションを提供している。いわゆる事務文書のような書類ではなく、スーパーマーケットのPOP材や、調剤薬局が患者に出す薬の説明書、薬袋といった印刷などに最適化されたソリューションを、これらの業種を得意とするSIer向けに提供している。「少部数を必要に応じてその場で印刷する、つまりオンデマンドのカラー印刷に強いのが特長です」。
●モバイル事業
モバイル分野のなかでも流通小売業に強いのが、同社の特長だ。家電量販店などでは、これまでも在庫管理など主にバックヤードでのバーコードをスキャンするだけの業務にハンディターミナルが多く使われてきたが、最近は配達日時の調整や値引き交渉といった接客中に使用するフロント業務にもハンディターミナルが使われるようになってきた。お客様をお待たせしないことが大きな目的だが、このような効果を可能とする無線LANネットワーク化が進んでいるという。
「こうしたオンライン化に応える製品として成功しているのが、ネットワークレジスターです。当社はレジスターの分野では国内外No.1のシェアをもっていますが、先日、オンラインでカード決済を行える機能などを追加したネットワークレジスターを発表しました。こうした決済機能を強化することで、今後ますますモバイルソリューションの付加価値を高めていこうと考えています。」
●プロジェクター事業
この分野では、独自の高密度設計技術を応用した小型化に大きな力を注いでいる。これまでは会議室などの備品として据え置きが当たり前だったプロジェクターだが、小型化することで持ち歩くことが可能になり、営業担当者などのプレゼンテーションツールとしての可能性が広がってきたという。
●人事統合システム事業
17年の歴史と約1700社のユーザーをもつ人事統合システムは、「製造」、「流通」、「金融」、「学校」、「自治体」、「医療」の各分野ごとに、その分野独特の人事スキーマを盛り込んだソリューションを提供しているのが最大の特長だ。
「社内の開発体制としても、業種ごとの人事のプロを養成してソリューションの開発にあたっています。このため、パッケージそのままですぐに業種に最適化された機能を提供できる点が、非常に好評です。」
2007年は話題の新製品が続々リリース
最近のもっとも大きなトピックスとして注目したいのが、プロジェクター事業での新製品の成功だ。「スーパースリムプロジェクター XJ-Sシリーズ」は、2007年4月の発表以来、予約が殺到して、2か月経った現在もフル稼働での生産が続いているという。
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スーパースリムプロジェクター XJ-S46
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「とくに引き合いの多いのが、製薬会社の営業担当者(MR)からです。医師の先生方は忙しいので、時間のないなか、据え付けのプロジェクターのある部屋でPCをつないで……などという余裕はないわけですね。その点、先生の目の前にプロジェクターを置いてUSBメモリーを差し込むだけならば、どこでもプレゼンが可能になるわけです。」
プロジェクター以外にも、話題を呼んでいる新製品は少なくない。その好例が、高速カラーページプリンタ「SPEEDIA」シリーズだ。フラッグシップモデルの「SPEEDIA N6100」は、フルカラーで毎分33枚の高速連続印刷が可能。また最大で2850枚の大量給紙が行えるため、オンデマンド印刷などの迅速かつ多様な印刷ジョブにも余裕で対応できるという。
さらにモバイル分野でも、新しい製品が9月の出荷を前に早くも話題を呼んでいる。ハンディターミナル「DT-X7」だ。
「この製品は、とにかく快適な操作性を追求した『ユニバーサルデザイン』が特長です。カシオがこだわってきた『小型化・軽量化・デザイン性』を徹底的に追求して、ボタンのクリック感や配置にもさまざまな工夫が凝らされています」と藁谷氏が言うとおり、スマートなデザインは最新モデルの携帯電話を思わせる。またボタンの押面に微妙な角度を与えることで、人の手になじむ人間工学的なデザインを実現するなど、カシオならではの画期的な試みが盛り込まれた自信作だ。
各分野のニーズに応える新製品を開発
カシオが現在、製品開発のうえでもっとも重視しているテーマの一つが「セキュリティ」だ。
「データの流出や個人情報の漏えい防止といった問題や、法的規制の強化といった世の中の動きを見れば当然ですが、では、それを製品レベル・技術レベルでどう実現させていくか、私たちメーカーの技量が問われています。とくに当社のシステム事業関連の製品は、どれも企業の重要な情報に直接関わるものばかりです。いかに導入が簡単で使いやすく、かつ堅牢なセキュリティを提供できるかを課題として製品化に取り組んでいるところです」と藁谷氏は語る。
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指紋認証搭載のプロジェクター専用USBメモリー
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「オフィスの共用プリンタに、誰が出したのかわからない文書が放置されているといったことがよくありますね。当社のプリンタ用セキュリティシステムでは、プリンタの所まで行って認証を行わないと出力できません。また出力を忘れて一定時間が経過すると、印刷待ちのメモリから自動的に消去されるといった機能も備わっています。」
8月3日には、電子レジスターに監視カメラシステムや自動釣銭機、指紋認証装置を連動可能な会計システム「StoreWatcher4000(ストアウオッチャー4000)」を発表した。このシステムは、電子レジスター「BT-4000」と、監視カメラ、録画サーバ、PCで構成される監視カメラシステムを連動させたもの。担当者がレジスターを操作する映像を監視カメラで撮影し、売上記録データとセットで記録することで、後からPC画面上で確認することができる。また、硬貨紙幣両用の自動釣銭機や指紋認証装置を接続することも可能。会計処理で発生するミスや不適切な処理を抑制し、店舗の効率的な運営を支援する。
オフィスの切実なセキュリティニーズに着目して、それらを独自の技術で形に変えていくカシオの取り組みに、ぜひこれからも注目していきたい。
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