- 2006/07/20 掲載
【ソクーロフ監督インタビュー】「昭和天皇」を描いたとして話題の映画『太陽』
イッセー尾形が「昭和天皇」を演じた映画『太陽』
終戦の数日間の「昭和天皇」を描いたとして話題の映画『太陽』が、8月5日より劇場公開(銀座シネパトスにて)される。天皇を演じるのは「ひとり芝居」で知られる舞台俳優・イッセー尾形。皇后役に桃井かおり。重要な判断を任された、ひとりの人間として「天皇」に迫っているところが異色である。
映画は昨年完成し、昨年度のベルリン映画祭での初披露で高い評価と注目を集めた。しかし、日本での公開は「天皇」を真正面から捉えた作品とあって難航してきた。
監督は「エルミタージュ幻想」などで知られるロシアの鬼才アンドレイ・ソクーロフ(55歳)。日本公開にあわせて来日した監督にインタビューした。
なお、インタビューではこの作品のエンディングに触れていますので、エンディングを知らずに作品をご覧になりたい場合は鑑賞後にインタビューをお読みください。内容への理解がぐっと深まります。
Q.映画を観て感じたことは第一に、重要な決断をする前と後とで、人は劇的に変わるということです。 映画は歴史的な瞬間の、数日を切り取っています。昭和天皇が「御前会議」に出席し、降伏を受け入れるように促す場面の前後。そして、勝利者として乗り込んできたアメリカ軍の最高司令官マッカーサーとの会見後、「人間宣言」を決断するまでをじっくりと丁寧に描かれています。
ソクーロフ■とても困難な状況の中で、神である出自をヒロヒトは拒絶するわけですが、神であるということも、もともと彼が望んでなったことではない。『人間宣言』にしても、その決断は、生命が生き延びるということが何より重要であると彼が考えたからだと思います
Q.米軍の日系二世の通訳が、天皇を尊敬するがゆえに丁重に接しようとするのを、逆に天皇は窮屈に受け止めている、そのように見える場面があります。それとは対照的に、一般の米兵は敗者として、天皇を軽んじている。皇居の庭で、米兵たちが鶴を追い掛け、戯れている。その鶴が軽やかに彼らから逃げていく場面があります。
ソクーロフ■捕まえようとすると逃げる。これは天皇との会見中、マッカーサーは勝者たるごとくふるまうわけですが、なかなか勝利者にはなることができない。それとダブるものです。あの鶴は真鶴で、日本の精神の象徴でもある。日本を捕まえようとしても、そう簡単にはいかない。彼らは軍事力では勝利したけれど、国民の魂は自由である。そういうメタファーにもなっています。
マッカーサーとの会見後、天皇が去っていきます。そして、鶴が鳴く場面がくるわけですが。あれは魂の住まいとなる場所を求めて鳴いている。そのような意味も込めてあります
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