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  • 2006/07/11 掲載

【NETWORK Guide】ネットワーク「改築」講座:Web高速化

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今回のテーマは、「Web高速化」を取り上げる。前回のテーマである「WAN最適化」 では、TCPの通信特性に着目し、WANのパフォーマンスを改善する手法についていくつか 説明したが、今回はそのTCPの中でも、企業で用いられることの多いHTTPを用いたWebシ ステムの高速化に焦点を当て、最適化の手法について解説していくことにする。
   
     

 

岸部貞治 Kishibe Sadaharu
ネットマークス
品質基盤本部 
テクニカルソリューションセンター
研究開発グループ マネージャー
-----------------------------------------------
次世代ネットワークソリューションの研究開発に従事。ネットワーク関連の新しい製品・技術を常にウォッチしている。ネットワーク業界はこれまで米国が技術を主導してきたが、最近は日米の市場性の違いが明らかになりつつあり、いつか日本から世界への技術発信に寄与したいと考えている。




footnote------------------------------------
[*1 ] SSL
Secure Socket Layerの略。Netscapeが開発した、インターネット上で情報を暗号化して安全な通信を行うためのプロトコル。SSLは、OSI参照モデルのトランスポート層に位置するため、上位プロトコルであるHTTPなどのさまざまなアプリケーションの暗号化が可能である。

[*2 ] 8 秒ルール
Webサイトを訪問したユーザーが、URLを入力またはクリックしてから表示されるまでに待つことのできる時間は8秒だといわれる。

[*3 ] DNS ラウンドロビン
1つのドメイン名に複数のIPアドレスを割り当てて、クライアントから問い合わせがあるたびに順番に答えることで、1台のコンピュータへアクセスが集中するのを防ぎ、負荷分散を実現する方法。
 

 
 Webアプリケーションは、クライアントに通常のWebブラウザを利用できる便利さから、インターネットだけでなくイントラネットにも普及し、現在では企業内ポータルやグループウェア、さらに企業の業務システムなどに幅広く用いられるようになった。

 クライアントサーバシステムのレスポンスを改善するとき、これまではサーバの増設による負荷分散や、ネットワークをより広帯域に拡張するなどの方法がとられてきた。しかしWebアプリケーションシステムに用いられるHTTPはTCPプロトコルの1つであり、TCPの通信特性である遅延やパケットロスの影響を受けるため、残念ながら単に帯域を広げても問題を解決できないことは、前回もご紹介したとおりである。

 また、Webページはテキスト・画像など複数のオブジェクトから構成されるため、オブジェクト数やオブジェクトサイズなど、そのコンテンツ内容によって性能が大きく左右される。トラフィックはサーバからのレスポンスが大半であるため、Webサーバへアクセスが集中することによる処理能力の低下や、SSL[*1]による暗号化処理などの影響を受けやすい。つまり、一般的なTCPの特性以外に、Web(HTTP)特有の問題がそこに存在する。

 そこで必要となってくるのがWeb高速化のための技術である。もちろんサーバ負荷分散はその1つだが、最近はWebサーバとクライアントの間に位置し、Webサーバのパフォーマンスを改善するための新しい製品や技術が登場している。なおWebシステムの高速化は、Webシステム内部で、サーバ自体の性能向上やアプリケーション・データベースといった各サーバのチューニングなどを行うことでも実現可能だが、話を絞るためここではあえて対象外とする。

 ここから、新旧のWeb高速化技術を1つひとつ解説し、これらの技術を実現する製品を紹介した後、適用時の注意点やコスト効率化のポイントなどについて、順を追って説明していこう。


   一般にユーザーがWebサーバからの応答を待つことへの許容範囲は「8秒ルール」[*2]といわれる。しかし、ネットワークの広帯域化やシステムの可用性に対する要求は年々高まり、今では4秒とも2秒ともいわれることがある。Webサイト管理者にとっては、Webシステムを常に高速かつ安定して運用することが重要となるのである。

 かつてはDNSラウンドロビン[*3]による方式が用いられたが、サーバ障害時にも振り分けてしまったり、DNSを変更してもすぐに反映されなかったりするなどの問題があり、けっして十分な対策とはいえなかった。そこでこれらの問題を解決するために登場したのが、「サーバ負荷分散」の技術である(図1)。

サーバ負荷分散


 サーバ負荷分散は、専用の負荷分散装置(ロードバランサー)をサーバ群の前に配置し、クライアントからのリクエストに応じて、ラウンドロビンや最小コネクション、サーバ応答時間などのアルゴリズムによって、クライアントからのセッションを均等に振り分ける技術である。各サーバに対してはアプリケーションレベルでサーバの生死を確認するヘルスチェック機能を持つため、DNSラウンドロビンのように障害の発生したサーバにリクエストが割り当てられることはない。1998年以降、Alteon(のちにNortelが買収)、ArrowPoint(のちにCiscoが買収)、Foundry、F5、Radwareなどから、相次いで負荷分散装置がリリースされた。負荷分散装置は、初めTCPのポート番号までを見て処理をする「L4(レイヤ4)スイッチング」のみであったが、その後HTTPコンテンツの中身を見て負荷分散を行う「L7スイッチング」機能が実現されている。負荷分散装置がL4-7スイッチともいわれるのはこのためである。

>>>SSLオフロード、リバースキャッシュとは?
   
           
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