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2022年11月にリリースされた汎用(はんよう)型チャットボット「ChatGPT」。Pythonスクリプトの生成、論文執筆、ウェブサイトやYouTubeなどのソーシャルメディアコンテンツの企画など、さまざまな分野でその可能性を模索する動きが活発化している。その一方、大学などの教育現場からは同ツールの利用による脅威やリスクを懸念する声もあり、利用を禁止する動きも散見される。なぜこのような事態が起こっているのか、ChatGPTをめぐる最新動向を解説する。
各方面から注目されるChatGPT
サンフランシスコを拠点とする人工知能開発組織OpenAIは2022年11月、チャットボット「
ChatGPT」をリリースした。
チャットボットというと、消費者向けプロダクト/サービスのウェブサイトなどでの導入が増え、さまざまなシーンで利用する機会が増えているが、そうしたチャットボットの応答は限定的かつ機械的なもので、人間と会話している感覚を得るのは難しい。
ChatGPTは、この従来のチャットボットのイメージを覆すものとなっているが、現在、その可能性だけでなく、脅威についての議論が噴出しているのだ。
まず可能性の面でいうと、ChatGPTがリリースされて以来、多数の試みが実施されている。
その事例の1つとして挙げられるのが、プロダクト/サービスの販売用ウェブサイトにおけるコンテンツ生成だ。
ChatGPTは、ウェブサイト上のデータを学習し開発された自然言語モデルで複数の言語に対応しているが、最も精度が高くなるのが英語といわれている。たとえば「ダイエットサプリ新商品の販売を促進するウェブサイトのタイトルと本文」とChatGPTに入力すると、以下のような英語の文章が生成される。
自然な英語で「しつこい脂肪を素早く効率的に燃やす」や「新陳代謝を促進し、エネルギー消費を促す」など、商品を訴求する文章が瞬時に生成されるのだ。さらに、質問をより具体的にしていくことで、文章をさらにユニークにすることもできる。
YouTubeの企画も立ててくれる?
これに関連して、ソーシャルメディアのタイトルやディスクリプション、さらにはコンテンツの企画やスクリプトも簡単に生成することが可能だ。
たとえば、ChatGPTに「YouTubeで最も魅力的なトピックを5つ選択してください」と入力すると、以下のように、「DIYと自宅改造」「美容&ファッション」「フード&クッキング」「ヘルス&フィットネス」「旅行&アドベンチャー」という回答が返ってくる。
これを踏まえ、「DIYと自宅改造トピックに関して、より詳細な企画、タイトル、ディスクリプション」と入力すると、詳細な企画・タイトル・ディスクリプションが生成される。
実際に生成された文章(英語)の1つは以下のようなものだ。
「『低予算でできるキッチンをおしゃれにする10のアイデア』、この動画では、シンプルかつ低予算で、キャビネットのペイントから新しいハードウェアの設置まで、キッチンをおしゃれにつくりなおす10のアイデアを紹介。このヒントを参考にすることで、予算を抑えつつ、キッチンをより美しく機能的にすることができます」
さらにこれ以外にも、動画内でどのようなことを話すべきか、関連する会話スクリプトを生成することもでき、動画制作のかなりの部分を自動化できることになる。
また、Pythonスクリプトなども生成することが可能で、簡単なコーディングタスクを自動化できる。
その一方、ChatGPTの学習データが2021年までのものであるため、それ以降の最新動向をまとめたニュース記事の生成などは現時点では不可能となっている。
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