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ビームスが新物流拠点を構えた背景
ビームスは1976年に東京・原宿で創業。世界のさまざまなライフスタイルをコンセプトにした店舗を展開しており、ファッションだけでなく雑貨やインテリア、音楽、アート、食品などにいたるまで、国内外のブランドや作品を多角的に紹介するセレクトショップを手掛けている。店舗数は国内外に170店舗。2024年2月現在の売上は892億円。
「ビームス ウエアステーション」自動化担当者であるビームスホールディングス ロジスティクス本部 戦略部の幡野 広樹氏に話を伺うことができた。
もともとの移転理由は、以前の倉庫が20年間の定借契約の満了となったことだった。移転自体は決まっていたため2019年ごろから本格的に取り組み始めていたが、「物流の2024年問題」や、今後の少子高齢化傾向、そしてすでに人が採用しづらくなっていることから、さらなる省人化を図るため自動化を推し進めることになった。
従来の仕組みはWMSとハンディ端末を使った検品と入荷で、特別なソリューションは何も使っていなかった。出荷に関してはハンガー系の「つるし」の商品と、店頭に畳んでおかれている「たたみ」、それぞれ2つのソーターを使い、各店舗へと仕分けしていたという。
新拠点でもソーターを使う点は同じだが、その前工程にHaiPickを活用し、GTP(Goods To Person)を実現した。つまり人が棚の間を歩き回る必要がなくなり、歩行距離を削減した。なお、HaiPickには異形物は入らないため、ビームスが扱っている商品のうち、家具や傘などいわゆる異形物は従来通りのピッキングとなっている。
ビームス ウエアステーション HaiPickによる出庫の様子
稼働開始したのが9月末。取材で訪問した11月初頭現在は「まだ十分な効果測定はできていない。安定稼働したタイミングで、当初見込んだ効果を出せるようにしていく」とのことだった。見込みとしては従来1日あたり110名の作業者が必要なところに対し、90人くらい、つまり2割減で回ることを見込んでいるという。
ビームスが豊田自動織機をパートナーとして選択した経緯
豊田自動織機と縁ができたきっかけは、ビームスが行っているBtoBのコラボレーション企画「大名古屋展」だった。地元を代表する企業や団体とビームスが一緒に作った商品を通して「知られざる名古屋・愛知の魅力を発信する」という取り組みである。その「大名古屋展」で2020年ごろに、地元企業である豊田自動織機にビームス側から声をかけたのが最初だったという。ただ、当時は本格的に一緒に物流拠点自動化に取り組んでいくことになるとは思っていなかったそうだ。
だが、そこで縁ができたことでビームス側でも豊田自動織機の関東カスタマーズセンターなどを訪問し、徐々にマテハンの提案を受けるなどして一緒に取り組むことに至った。
もちろんほかのマテハンメーカーとも話はしていた。だが、そもそも次の移転場所が決まらない段階では話は具体化せず、まとまるには至っていなかった。そうこうするなかで、いよいよ期限も迫ってきた。
「そのタイミングで、トータルで提案してもらえる自動織機さんと出会った。しかも自社製品ではないものも含めて提案してもらえる。システムもやれる。ということで、そういうかたちになった」ということだそうだ。予算についても「トータルで見れば予算内に収まった」。
【次ページ】ハンバー品の搬送と検品にリニアモーター式倉庫「CUEBUS」を世界初活用
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