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サイバー犯罪の被害の多くは、ヒューマンエラーによってもたらされるものである。偽メールの添付ファイルをうっかりクリックしてランサムウェアの侵入を許してしまい、莫大な損害が出てしまった事例が多発している。うっかりミスをなくすためには、ヒューマンエラーのメカニズムを知ることが重要になるだろう。そのメカニズムと対策について、静岡英和学院大学短期大学部現代コミュニケーション学科の短期大学部部長・教授である重森雅嘉氏が解説する。

うっかりミスの要因となる自動処理と制御処理の関係とは?

 サイバー攻撃が狙う脆弱性の大きな要因となっているのがヒューマンエラー、つまり人為的なミスである。「ヒューマンエラーをなくすためには、そのメカニズムを正しく理解することが必要」と静岡英和学院大学短期大学部現代コミュニケーション学科の短期大学部部長・教授である重森 雅嘉氏は強調する。

 ヒューマンエラーのメカニズムを理解するためには、人間の行動のメカニズムを知ることが必要になるだろう。人間の行動・判断は記憶システムと注意システムとで取り出されたプログラムで決定される、と重森氏は説明する。

「人間は状況の中から手がかりとなる情報を受け取り、その情報と結びつく知識やスキルを取り出して判断・行動しています。取り出し方には自動処理と制御処理という2つの方法があり、この2つを使い分けることで効率的で柔軟な日常生活を送ることができるのです。しかし、自動処理と制御処理が競合してうっかりミスが起こることがあります」(重森氏)

 自動処理とは意識することなく歯を磨いたり靴を履いたりするように、ある場面で繰り返し行われることが手がかりとなり、自動的に展開されるプログラムのことである。一方、制御処理は意識的に注意を向けて取り出される記憶による処理のことで、普段は行っていないことを行うために必要な行動プログラムである。

 ヒューマンエラーを突くサイバー攻撃を防ぐために、「うっかりミスのメカニズム」と対策について考察していこう。

この記事の続き >>
・うっかりミスをなくすために必要なこと
・制御処理を自動処理に移行させてしまう条件
・記憶システムと注意システムの弱さを前提としたミス対策とは?

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