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  • 2021/02/19 掲載

セキュリティ領域での「AIの使いこなし方」を解説、人間に求められる役割とは?

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AlphaGo(アルファ碁)が世界最強棋士と言われるイ・セドル氏を倒し、AIの実力が世間に知れ渡った事件から4年、AIの活用段階のフェーズは変わり、今や組織へのAI導入と運用は当たり前、現在は「AIと人間の関わり方」が課題となっている。同じくセキュリティ対策の世界でもAIの活用が進む中、現場のセキュリティ管理者やセキュリティアナリストとAIの関わり方が課題となっている。国立情報学研究所の安藤類央氏に、人間とAIの関わり方のポイントを解説してもらった。

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国立情報学研究所
サイバーセキュリティ研究開発センター 特任准教授
安藤 類央 氏

著しい進化を遂げるAI…それでも「人間が必要」と言える理由とは

 はじめにセキュリティ対策の領域におけるAI活用の最新事例を確認しておきたい。

 最新のセキュリティ対策におけるAIの活用事例としては、DarkTrace 社の『Antigene Network』などが挙げられる。これは、人間の免疫システムから着想を得て、脆弱性を検知し、緩和する方式を採用した製品だ。

 また、2016年にDARPA(国防高等研究計画局)の開催するハッキングを競うトーナメントで優勝したForAllSecure社の『Mayhem』は、自らの脆弱性を見つけて、パッチを当てるかどうかの費用対効果分析までしてくれるという。これは、もはやハッキングが自動化される世界になることを意味している。

 このようにAIの活用事例は高い水準に到達している。オックスフォード大学教授 ニック・ボストロム氏のベストセラー『スーパーインテリジェンス』でも、「情報セキュリティの領域でAIが実現できること」について紹介されている。

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情報セキュリティの領域でAIが実現できるタスク。人間がAIを研究するのではなくAIがAIを研究することもできるようになる、経済の主導権もAIが握ってしまうなど終末予言的な項目が並んでいるが、本当にそうなるのだろうか
【参考】スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運 (日本語) ニック・ボストロム (著), 倉骨 彰 (翻訳) 2017/11/25 日本経済新聞出版社

 また、ヘブライ大学教授 ユヴァル・ノア・ハラリ氏も著書『ホモ・デウス』で、AIが富と経済力を創出する未来について警鐘を鳴らしているほか、「サイバネティクスの父」と呼ばれるノーバート・ウィナー氏(1964年死去)も「マシンがどんどん効率的になり、心理学的に高い水準で動作するようになれば、マシンによる支配という破局が近づく」と予言しているが、実際のところはどうなのだろうか。

 国立情報学研究所 サイバーセキュリティ研究開発センター 特任准教授の安藤類央氏は、「このようにAIに関してはディストピア(反理想郷)的な未来予測が多くなされていますが、AIに人間は不可欠です」と強調する。安藤氏がそう語る根拠とはどこにあるのか。ここからは、AIとの付き合い方について深掘りしていきたい。

この記事の続き >>
・AIと人間の役割がワカル、Modular(人間)とBrittle(AI)の考え方
・セキュリティ領域における「AIと人間の仕事の境界線」とは
・AIと協働するためのチームに必要な3つの役割
・今後、求められるサイバーセキュリティ人材の資質とは

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