セキュリティ領域での「AIの使いこなし方」を解説、人間に求められる役割とは?
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著しい進化を遂げるAI…それでも「人間が必要」と言える理由とは
はじめにセキュリティ対策の領域におけるAI活用の最新事例を確認しておきたい。最新のセキュリティ対策におけるAIの活用事例としては、DarkTrace 社の『Antigene Network』などが挙げられる。これは、人間の免疫システムから着想を得て、脆弱性を検知し、緩和する方式を採用した製品だ。
また、2016年にDARPA(国防高等研究計画局)の開催するハッキングを競うトーナメントで優勝したForAllSecure社の『Mayhem』は、自らの脆弱性を見つけて、パッチを当てるかどうかの費用対効果分析までしてくれるという。これは、もはやハッキングが自動化される世界になることを意味している。
このようにAIの活用事例は高い水準に到達している。オックスフォード大学教授 ニック・ボストロム氏のベストセラー『スーパーインテリジェンス』でも、「情報セキュリティの領域でAIが実現できること」について紹介されている。
また、ヘブライ大学教授 ユヴァル・ノア・ハラリ氏も著書『ホモ・デウス』で、AIが富と経済力を創出する未来について警鐘を鳴らしているほか、「サイバネティクスの父」と呼ばれるノーバート・ウィナー氏(1964年死去)も「マシンがどんどん効率的になり、心理学的に高い水準で動作するようになれば、マシンによる支配という破局が近づく」と予言しているが、実際のところはどうなのだろうか。
国立情報学研究所 サイバーセキュリティ研究開発センター 特任准教授の安藤類央氏は、「このようにAIに関してはディストピア(反理想郷)的な未来予測が多くなされていますが、AIに人間は不可欠です」と強調する。安藤氏がそう語る根拠とはどこにあるのか。ここからは、AIとの付き合い方について深掘りしていきたい。
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